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2014年02月14日

【ネットワーク社会に見られる、新たな消費欲求構造】~仮説③「最終欲求逆転仮説」の検証~

ピラミッド

 第一回目(2013/11/1)の投稿、第二回目(2013/12/13)の投稿に引き続き、近年広まりつつある、他人に貢献するための消費行動である「Social消費」という新たな消費欲求をヒントに、心理学者マズローが唱える欲求五段階説とは異なる「新たな欲求段階説」の仮説を作りました。

 連載最終回となる今回は「最終欲求逆転仮説」を探究していきます。

 「最終欲求逆転仮説」とは…

 現在、第四段階層である尊厳欲求と第五段階層の自己実現が逆転したと考える仮説です。

 マズローの欲求五段階説では、人々の欲求の最終階層として「自己実現」を挙げております。しかしながら、人々の欲求の最終到達点は、「自己実現」(=自分の能力を引き出し創造的活動がしたいなどの欲求)ではなく、実は第四段階層に位置する「尊厳欲求」(=他者から認められたい、尊敬されたい欲求)にあったのではないかというのが今回の仮説の検証です。

 マズローが欲求五段階説を唱えた時代の1908-1970年は、社会全体が物質的な充足感を得ることが幸せの条件であった物質社会にありました。いわば、「衣食足りて礼節を知る」という時代でした。

 また、そうした時代までは、「尊厳欲求を満たすことの出来る慣習」が社会には存在していました。

 それは、「通過儀礼」という慣習であり、どんな民族にも、社会にも特有の通過儀礼がありました。自身で自身を「大人」として自覚するための慣習です。

 バンジー・ジャンプなど世界には多くの通過儀礼が存在しており、近世の日本では、「元服」がそれに当ります。

 多くの若者は、この通過儀礼を通ることで、周囲からの称賛や期待を受け、自身への自信を獲得し、自他共に最大限の承認欲求を満たしてきました。そうして第四段階層の欲求が満たされた後、自身の将来への更なる理想を追い求め、自己実現に邁進してきたものと思われます。

 しかしながら、衣食を得るために大した覚悟を必要としない現代社会では、通過儀礼という慣習は影を潜め、大人としての自覚が足りない、大人としての認識が乏しい人々、すなわち強固な承認を得られないまま育った人々が増加したように思われます。

 その結果、衣食住が満たされた現代社会の人々は、欲求五段階説に見られる第一段階層から第四段階層を駆け上がることなく、従来までは最終欲求とされてきた自己実現をスタートラインとして没頭することとなったものと考えられます。

 ところが、というか、やはりと言うか、人々は、いきなり自己実現を追求しても十全感が満たされないことに気づき始め、そこで、人々は承認欲求が足りていないと自覚したのではないでしょうか。

 現在、Facebookの普及によりボタン一つで容易に「いいね!」(承認)を得られる時代になりました。そうした中で、「いいね!」獲得のために切磋琢磨で取り組み、過剰なまでに執着している人々が増えたことは、承認欲求を満たしきれていない人々の具体化であるように思われます。

 こうした人々の欲求の現れが、数多く存在するSNSの中で、Facebookが覇者となり得た理由ではないかと考えられます。

 このように現代の人々は第一、二、三、五段階の欲求は満たされましたが、第四段階の欲求のみ満たされておらず、人々は5つの欲求がすべて満たされない限り、完全な充足感は得られないという、マズローの欲求五段階説は間違っていなかったという証明ともなりました。

 Social消費に見られる、他人のために尽くし、他人に認められるための「利他消費」は、ネットワーク社会において、通過儀礼を失った人々が、改めて設定した承認欲求を求めるための消費の姿であるものと思われます。

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