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第3回「キュレーション」で自己表現力を高める~まとめサイトで個人ブランディング~
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調査事例

第3回「キュレーション」で自己表現力を高める~まとめサイトで個人ブランディング~

2014/02/07
REPORT

ネット界で注目を集めている「キュレーション」を手法としたまとめサイト。これまでの2回の投稿において、ユーザーが「ググる」検索では得ることのできない、ファンクショナルベネフィット、そして「主観」を楽しむというエモーショナルベネフィットについて注目をした。そして、最終回の今回は、「まとめサイト」における“個人ブランディング”の可能性について注目したいと思う。

“得意な分野や強い分野を持っている人にとっては、自身をPRするツールとしてNaverまとめはうってつけなのである。” Source:NAVERまとめで始める個人ブランディング

「Naverまとめ」は主観によって“個人がブランディング”できるツールではあるが、月間4100万人が使う巨大サービスにおいて、「主観」を武器に、自己PRするにはどうすればいいのだろうか。

まとめサイトのキュレーター達は、有名人でもなければ、売り込める製品を持つ企業でもない。尚且つ、提供する情報に関しても、彼らが独自に発信しているものでもない。匿名でまとめを作成するキュレーターの「主観」以外には、自己PRをする事が出来る要素は、“ゼロ”と言っても過言ではない中で、自分をブランディングする、「自己表現力」とは何かを分析したい。

まとめサイトで自己PRするには、商品力となる「主観」に下記の要素が含まれている事が必要だと言えるのではないか。

“フェティシズム的な「主観」が一般受けしながら、その主観がある程度「ニッチ」であること”

「主観」が濃厚でニッチ過ぎると、同じ価値観を共有できる者以外を遠ざけてしまう結果になってしまう事も多々あるようだ。主観がドン引きされない、どこか共感できる「ある程度」のニッチさこそが、PVを稼ぐためのブランディングの要素だと言える。

まとめサイトは、キュレーターが独自に記事やコンテンツ等を作成しなくとも、既にネット上にある情報を自分の商品として提示する事で成り立つビジネスなのである。しかし、膨大なネット上の情報から、個人の「主観」を表現する情報を取捨する事は、日常で誰もが行っている作業ではある。

一方で、ある程度、一般受けしながら、面白いと思わせるニッチな情報を選択できるという事は、それはそれで、ハードルが高いことではある。そこで、まとめサイトならではの検索裏ワザがあるのではないかと考えた。

Naverまとめの情報は、キュレーターがいかにまとめ情報を検索して見つけてくるかがポイントだと言えるのではないか。彼らがもつ、「検索スキル」を考察したい。

検索スキルで、もっとも差が出るのが、「検索ワード」の設定であるが、スターキュレーターが行う検索ワードの設定について、一つの仮説を立ててみた。

“適切な情報を検索するポイントは、「3つ」の言葉選びである“

面白い情報を得たい時、検索ワードは“3単語”から構成される事が多く、この“3単語”構成は、人間心理に関わりを持つのではないかと考察したい。

“3単語”構成の重要性を、幾つかの例で検証してみる事とする。

Naverまとめの「まとめ」ページから見る、キュレーターが集めた「主観」情報の例を幾つかあげたいと思う。

 

まとめ冬「渋谷」で個室があるおすすめ居酒屋まとめ> 

「居酒屋_渋谷_個室」における、「居酒屋」、「渋谷」は基本的情報であるが、「個室」に関してはキュレーターが多くの人が個室で飲みたいという願望を察知してのまとめだといえるのではないか。Source:Naverまとめ

<最適な季節はまさに今?男性は「冬」に結婚したくなるらしい>

「男性_プロポーズ_冬」の中で、特に「冬」というキーワードが面白い。バレンタインも間近に迫る今の時期、多くの女性が結婚を意識しているという表れであろう。キュレーターの、寒い今の時期での結婚願望が多くの女性の共感を得たのではないだろうか。Source:Naverまとめ

<ベビーパウダーのちょっとかしこい使い方>

「ベビーパウダー_使い方_かしこい」、このまとめに関しては、多くの若い女性が赤ちゃん製品のベネフィットを自分に享受したいという潜在願望をキュレーターが察知してのまとめだと考える。Source:Naverまとめ

これらのまとめページの検索ワードに共通すると思われる事は、以下の事である。

はじめの2つのワードは基本情報であり、3つ目におかれるワードこそが、個々のオリジナリティであり主観であるという点だ。スターキュレーター達は、ユーザーの潜在的願望を察知し、それを3つ目の言葉に集約させる事により、程よくニッチな情報を選択する作業に長けているのではないだろうか。

翻って考えてみれば、IT用語においても、 CRM(Customer relationship management)、SEO(Search Engine Optimization)、SFA (Sales force management)等、3単語で表される用語が多い。1つ目、2つ目の名詞で対象を特定し、最後の単語(ITを使うという)で新しさを表しているのだ。3つの単語で構成する事により、Solutionを定義する事ができるのだ。

そして、いわゆる基本文型と言われるものは3つの要素から構成される。中学校の英語の授業を思い返すようだが、SVC(He is a teacher)、SVO(She is beautiful) 等の3つの要素の構成により、初めて文章が成立する。

つまり、Naverまとめページを構成する際に、検索ワード「2つ」では、(たぶん)個人のオリジナリティを表現する事はできない。また検索ワードを「4つ」にすると、今度は情報が濃厚すぎて、多くの人の共感を得ることができないと思われる。

“3つ”の言葉選びこそが、程よくニッチな「主観」を定義するためのキュレーションのブランディングパワーで有るのではないだろうか。また、“3つ目におかれたワード”こそが、個人のオリジナリティを定義しており、キュレーターにとっては、自己ブランディグする為の、ユーザーニーズへの「インサイト」であると言えるのではないか。

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