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私がモデレーションで大切にしている3つのこと
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私がモデレーションで大切にしている3つのこと

2023/03/20
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こんにちは!スガタリサーチ リサーチャーの田村です。

定性調査の要の1つであるモデレーション。調査設計や対象者リクルート、インタビューガイドの内容など定性調査の質に関わる要素はたくさんありますが、やはり最後はモデレーションの出来で、得られるインサイトの深さは決まってくると思います。

私自身もスガタリサーチに入社して以来、社内研修や外部セミナーに参加したり他のモデレーターさんから話を聞いたりして、モデレーションについて学んできました。今では徐々にモデレーションをする機会も増え、最近ではB2C案件や患者さんインタビューなどを担当させてもらっています。

実際に経験を積む中で、モデレーションをする際こういうことを意識するとうまく行きやすい、という自分なりのポイントがいくつか掴めてきました。今日はその中で特に大切だと思う3つの点を、ご紹介したいと思います!

 


① 分かりやすいリアクション

対象者さんからすると当たり前な話でも、リサーチ側からすると貴重なファインディングスであることは多々あります。それなのに、対象者さんの中には「この話って求められてる?どのくらい喋って良いの?」とモデレーターの様子を伺いながら話す人も多くいます。そんな様子見の対象者さんに対しては「この調子で話して良いんだ!」と思ってもらえるような、分かりやすいリアクションをすることを私は意識しています。

例えば、興味深い話やなるほど、という意見が出た時には、はっきりと大きく頷いて「あ〜そういうことかぁ」という顔を作ったり、そのまま詳しく話を続けてほしい、という時には、前に身を乗り出して「この話興味がある!」という姿勢を作ったり。逆によく分からない、という時には「どういうこと?」と困った顔をして、対象者さんに追加の説明を促すような雰囲気を作るよう工夫をしています。

特に、対象者さんにとっては当たり前の日常を聴取する実態把握インタビューでは、こうした工夫をすることで話を引き出しやすくなると感じています。以前、スナック菓子の購入実態把握のインタビューを担当した際、店頭で商品を選ぶときの様子を細かく教えてください、という問いかけに対して「普通に売り場に行って選ぶ感じですけど・・・」と中々話が進まない対象者さんがいました。でも話の中で「まずレジ前にあるお菓子をチェックするかも」という発言があり、そこで前のめりになって「もっと話して!」というリアクションをしたところ、「こんな話でいいんだ」と思ってもらうことができ、その後いつも自分がお菓子を買う時のルーティーンを細かく話してもらうことができました。

このようにインタビュー中のモデレーターのリアクションというのは、「対象者さんに遠慮なく、気持ち良く話をしてもらう」という上でとても重要な要素だと、実際のモデレーション経験からも実感しています。

② 沈黙を破らない

定性インタビューでは、時間内にインタビューガイドの内容をカバーすることがモデレーターの責任の一つでもあります。そのため対象者さんが黙り込んでしまうと、モデレーターとしてはハラハラしてしまうんですよね…。「もしかして質問の意味わかってない?」と思い、補足説明をしたり違った言い回しで聞き直したりしたくなってしまうのですが、これは少し注意が必要です。

実際に自分が訊かれる立場だと考えてみると、その場で全てにぱっと答えるのって、中々難しいと思いませんか?対象者さんも同様で「沈黙=わからない、困っている」という訳ではなく、色々考えて意見をまとめている最中であることがほとんどです。むしろ考えている途中で声かけをしてしまうと、対象者さんがせっかく言おうとしたことを飲み込んでしまい、また1から考え始め、結局答えるまでに時間がかかってしまう、ということもあります。そのため、沈黙した時には「発言があるまで根気強く待つ」というのが、私がこれまでモデレーションをしてきた中で、一番時間効率がよく、かつ対象者さん自身の考えを引き出すことができる対応だと感じています。

以前スマホブランドのイメージを聞き取るインタビューをした際、色んなブランドを擬人化してもらう、という手法を使ったことがあります。思いがけない質問だったからか、初めは黙り込んでしまう対象者さんも多くいました。最初は私も、例を挙げたほうがいいかな、と思い途中で声かけをしてしまったのですが、そうすると何か考えはありそうなのに、「確かにそんな感じです」と、その例をそのまま使って回答をしてしまう方も出てしまいました。そのため、やはり対象者さんの思考を邪魔しない方がよいと考え、長めの沈黙でもそのまま辛抱強く待ってみると、どの対象者さんも自分なりの考えを披露してくれた、という経験があります。

時間のことを考えると焦ってしまう気持ちもありますが、思い切って沈黙を破らず待ってみると、ほとんどの場合、対象者さんは自分の意見を発言してくれますし、そのようなじっくり考えた上での意見はとても興味深いものであることも多いです。

③ スクリーニングデータを把握しておく

対象者さんは、モデレーターにとっては全く知らない初対面の人ではありますが、事前にスクリーニングデータをチェックすることで、大体の人物像は把握することができます。大体でもどんな人かを頭に入れておくと、モデレーターとしてもインタビューに落ち着いて臨むことができますし、回答内容をある程度予想ができるため、各対象者さんに適切なプローブを事前に準備しておくこともできます。

スガタリサーチでは、アンケートによる1次スクリーニングに加え、電話確認による2次スクリーニングも実施し、アンケート回答だけでは分からない対象者さんの実際の雰囲気や性格まで、事前にリクルート担当が把握し、モデレーターに共有をしてくれます(医師やエキスパートインタビューなど特殊な例は除く)。私は、この2次スクリーニングの情報を、インタビュー準備をする際にとても重宝しています。例えば、「良く話をしてくれるけどお喋りで話のトピックが外れがち」や「言葉は少なめだけど、しっかり考えた上で話をしてくれる」といった情報を共有してくれるのですが、こうした情報を持って、「じゃあこの人は、インタビューはテンポ良く、お喋りに合わせつつ論点から外れないように気をつけよう」「次の人は、沈黙になったとしても焦らずに待つようにしよう」など、心の準備をして臨むことができ、結果的にインタビューの質の向上にとても繋がっていると感じています。

 


以上、私がモデレーションをする際に大切にしている3つのことについて、ご紹介をしました。もちろん、インタビュートピックや、オンラインか会場か、IDIかFGIか、などによって変わる部分もありますが、この3点は基本的にはどんなインタビューでも共通して活かせるものではないか、と思っています。

私もまだまだモデレーションを勉強中の身で、いろんなモデレーターさんのスキルをみて学ぶことが多いです。このコラムを読んでいる皆さんは、おそらく定性調査に関わることが多い方々だと思います。ぜひ定性インタビューを見る際には、モデレーターが使う色んなスキルにも注目してみてくださいね!

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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