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患者調査とリクルートについて
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患者調査とリクルートについて

2023/03/20
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はじめに

コーディネーターとして対象者リクルートを担当している松村です。
スガタリサーチでは、一般消費者を対象としたコンシューマー領域だけではなく、医療従事者や患者さんを対象とするメディカル領域の調査も実施しています。

今回のコラムでは、メディカル領域における患者調査について、リクルートの特徴や担当者として意識している点等についてお話しします。

患者調査とは

メディカルの案件では、基本的に製薬会社がクライアントとなり、患者さんや医療従事者を対象とした調査を行います。中でも患者調査では、製薬会社が開発している薬剤や患者治療のためのツールなどのために、患者さんの実態を把握し、実際の声を聴くことを目的として実施される事が多い傾向にあります。

患者調査のリクルート方法

まずは患者調査のリクルート方法について簡単にお話しします。患者さんをリクルートする方法としては大きく分けて3つあり、疾患の種類やリクルートの難易度によって使い分けています。

1:大規模パネルを保有する会社からリクルートする
2:臨床試験の被験者募集を行っている治験会社からリクルートする
3:各疾患の患者会に協力いただき、患者会の会員を紹介いただく

患者さんのリクルートでも、まずは一般的なコンシューマー領域の調査と同様に、
1:会員数が多い大規模パネルを保有する会社」に協力を依頼することが多いです。
こちらの方法が難しい場合には、「2:臨床試験の被験者募集を行っている治験会社」に協力いただくなど、多方面から患者さんにアプローチします。

「3:患者会」にご協力頂く方法については、指定難病や希少疾患といった、通常のリクルート方法では獲得が難しい患者さんの場合に使用します。

ただし、疾患ごとに患者会も異なるため、各団体と「初めまして」の挨拶から関係づくりを始めることも。調査を経て、案件終了後もご相談をさせていただく関係性に至る場合もあれば、団体の意向で市場調査への協力はNGという場合もあるため、必ずしも100%協力を得られることが決まっているわけではありません。

もちろん、今まで市場調査に協力をしたことがない患者会もあれば、市場調査というものを全く知らない患者会も沢山いらっしゃいます。今まで患者会とのやり取りを行ってきた経験から、そのような団体にも快くご協力いただくためには、いかに調査及び調査会社に対して不信感を抱かせないかが重要であると思っています。そのためにも私たち調査会社は、個人情報保護の徹底だけでなく、調査目的の明確化や患者さんの負荷を考慮した調査設計など、通常のコンシューマー調査以上に慎重に、調査企画の設定・リクルートを行う必要があると考えます。

さて、ここまでリクルート方法についてお話してきましたが、次からは私がリクルート担当者として意識・工夫していることについてお話しします。

コーディネーターとして意識していること

わたしは患者調査を担当するうえで、疾患を知ること、そして患者さん一人ひとりとのコミュニケーションを意識しています。

 – 疾患を知る

私たちスガタリサーチは調査会社であり医療従事者でも製薬会社でもありません。そのため、調査の該当疾患を知らない、もしくは名前は聞いたことがある程度という場合も多く、疾患のことを勉強することからスタートすることがほとんどです。そこでスガタリサーチでは、営業と同様にリクルートを行うフィールドも、症状や治療、患者さんがどのような経過をたどるのかなどを勉強することを心がけています。勉強することで疾患の理解が深まるだけでなく、患者さんの全体像や状況を把握でき、結果としてより良い対象者リクルートにつながると考えています。

「リサーチの成否は、リクルーティングにかかっている」と弊社HPにも掲載しているように、どれだけインタビュアーが素晴らしくとも、対象者によって調査の質は大きく変わります。実りある調査にするためにも、テーマになる疾患を理解し、良い対象者をリクルートできるよう心がけています。

 – 患者さんとのコミュニケーション

疾患というセンシティブなテーマについて、初対面の調査会社にどこまでお話しいただけるか、患者さんとの信頼関係の構築もフィールドにとっては重要であると考えています。

募集アンケートでは、回答する患者さんにどのような背景があるのか、自身の疾患や治療についてどのように解釈をされているのか定かではない状況で回答いただくため、調査票はできる限りどの患者さんにとってもわかりやすいものを作成するようにしています。

また、アンケート回答後に行う電話確認では、患者さんが話しやすい・話しても良いと思っていただけるよう、一方的に話すのではなく傾聴することを意識しています。加えて、患者さんと話すにあたり、通話時の体調や会話すること自体に支障が無いかといった様々なことを考慮しながら、一人ひとりと向き合い、その方に合ったコミュニケーションをとるように心がけています。

私たちは医療従事者ではないため完全に疾患を理解することはできませんが、できる限り患者さんに寄り添い、快く調査に参加できるための環境の準備や、対象者に不信感を与えないようなリクルートすることが患者調査では重要だと考えています。

患者調査を経験して思うこと

以前、リクルートを担当した皮膚疾患の患者さんから、下記のメッセージをいただいたことがあります。

「治療が大変で落ち込むことも多い状況ではあったが、悩みや気持ちを話すことができて良かった。自分のように悩んでいる人がいる中で、今回話したことが役立つことを願っている。」

この方には数か月にわたる長期インタビューにご協力いただいたのですが、調査が終了した際にいただいたこのメッセージが非常に印象に残っています。

私たちは新しい薬を創り出すことはできませんが、自分が関わった人たちの治療環境を改善する、 “病気に対する何か“に対して力添えをする、それができる仕事を私たちはしているのだなと思っています。 

おわりに

今回はリクルートに関するテーマの一つとして、患者調査を取りあげました。

メディカルというと専門知識が無いと難しいのでは…と思われる人も少なくないと思いますし、私自身もそう感じていました。もちろん、難しいと感じることやまだまだ勉強不足だなぁと感じることは沢山ありますが、それでも、わたしが患者さんからいただいた言葉のように、これからの誰かのために役立つ調査のリクルートを今後も実施できたらと思っています。

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