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2015年09月18日

【年代別分析】「固有の価値観の理解」前編:35-44歳 男性

連載企画年代別分析2回目となる「固有の価値観の理解」前編では、ターゲットとする35-44歳男性の「現在の固有の価値観・生態」を理解することを目的とし、現在の彼らがどのようなライフスタイルを形成し、日々の生活を行っているのかを①「衣食住」②「趣味・嗜好観」③「交友観」④「職業観」⑤「メディア接触態度」⑥「自分」の大きく6つの項目に区分化し、考察を行った。

この年代の男性の基本情報としては、1970年代に生まれた彼らは広義にて「団塊ジュニア」世代と呼ばれ、2015年現在の人口は934万人(団塊ジュニア全体では1826万人)、うち就業者数は860万人、既婚者数は580万人となっている。

この年代の男性が歩んできた時代の振り返り (【年代別分析】年表編:M2層 35-44歳 男性 参照)

  • 社会:日本経済が高度成長から安定成長へ移行し、あらゆるモノが普及、浸透した
  • l教育:受験競争の激化に加え、いじめなどの校内暴力や家庭暴力が社会問題となった
  • 文化:TVアニメやファミコンの登場によって、遊び場が屋外から屋内に移り変わった
  • 経済:バブル崩壊後、就職氷河期を向かえ、将来への不安が増加した

そのような彼らの「現在」を、前編となる今回は上記①-③の項目に視点を当て掘り下げていく。

 

【衣(洋服):コスパのよさと自然体】

ファッションに関して、彼らが好んで所有している洋服ブランドでは、コスパの良さを重視した「ユニクロ」や「ギャップ」の支持が男性全体(20~69歳合計)と比べても高くなっている。

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出典/引用:マクロミルブランドデータバンク著「3万人調査が語るニッポンの消費生活 世代×性別×ブランドで切る!」

彼らが社会人を向かえた頃は就職氷河期の真っ只中であり、将来の生活に不安を感じる人が多く見られるようになった。

そのため彼らは、「豪遊」や「贅沢」を自粛し、モノを選ぶ際は「高級感」は重要視せずに、質と価格のバランスを考慮しながら自分なりの分析を行った上で「自身が良い」と判断したものを取捨選択を行うようになったもと思われる。

 

また、80年代後半から90年代前半の高品質な定番アイテムを自分なりに組み合わせて着こなす渋カジ・ファッションブームを経験してきた彼らは、当時の立役者であった「ポロラルフローレン」や「リーバイス」など高品質カジュアルブランドに対する信頼も今尚強い。

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出典/引用:マクロミルブランドデータバンク著「3万人調査が語るニッポンの消費生活 世代×性別×ブランドで切る!」

経済的に豊かな時代に生まれた彼らは彼らより上の年代の人と比べて上昇意識が高くはなく、あらゆるモノに囲まれて育った彼らは、モノ自体に対する執着も薄い。そのため、着飾り過ぎず疲れにくい「自然体」を演出しやすいこれらのカジュアルブランドが好まれているものと思われる。

参考:https://www.kwansei.ac.jp/s_sociology/attached/5288_44291_ref.pdf

 

【衣(靴&装飾):個性が生える限定品】

好んで所有している靴ブランドに関しては、上位5つのうち4つがスポーツシューズブランドとなっている。

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出典/引用:マクロミルブランドデータバンク著「3万人調査が語るニッポンの消費生活 世代×性別×ブランドで切る!」

90年代に巻き起こったスニーカーブームに胸を熱くした彼らの中にはスニーカー信者も多く見られ、その中でも当時ブームの火付け役となった「ナイキエアマックス95」の産みの親である「ナイキ」は他年代の男性と比べても特に愛着が強いものと思われる。

 

また、好んで所有している時計ブランドでは、国内メーカーブランドにおいて男性全体と比べると「カシオ」を除き、「セイコー」や「シチズン」の人気は低くなっている。

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出典/引用:マクロミルブランドデータバンク著「3万人調査が語るニッポンの消費生活 世代×性別×ブランドで切る!」

90年代Gショックブームに心を躍らせた彼らにとって、カシオはナイキと同様思い入れの強いブランドとして根強い人気を有しているものと見られる。

 

多くのモノに囲まれて育った彼らは、モノ自体に対するこだわりは弱いと見られるが、幼少の頃より受験競争の波にもまれてきたことで他にはない「自分らしさ」への意識が高い。そのため、「ナイキエアマックス」や「Gショック」のような個性を演出しやすい「限定モノ」に対して好感を抱きやすいものと思われる。

 

【食:外食大好き、脂モノ大好き】

彼らが好む食べ物の中で男性全体と比べ特に差が見られたのが、「ハンバーガー」や「ラーメン」などのファーストフードや、「焼肉」や「ステーキ」などの肉食といった脂肪量の多い外食定番メニューであった。その一方で、「魚の煮物」や「野菜の煮物」といった家庭料理への愛着はあまり強くはなかった。

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出典:博報堂生活総研-生活総研ONLINE「生活定点1999-2014」

引用:https://www.seikatsusoken.jp/teiten2014/

1971年に国内ファーストフードの第一人者であるマクドナルド一号店がオープンした後、70年代後半以降の積極的な郊外展開と共にファミリーレストランの郊外出店も加速しており、彼らは幼少の頃より外食産業の成長と共に大人になっている。

また、外食産業の普及と共にスーパーマーケットやコンビニエンスストアの拡大による惣菜などの調理済み食品や冷凍食品の家庭での利用も広がりを見せており、このような時代に育った彼らにとって外食メニューは「おふくろの味」に匹敵するほどの「準家庭料理」となっているものと思われる。

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引用:https://www.geocities.jp/yamamrhr/ProIKE0911-65.html

 

【住:家族との交流が大前提】

この年代の人たちは、住まいに対して「家族との憩いの場」としての存在意義を有している人が他年代と比べて見られやすい。

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出典:リクルート住宅総研 2015年ビジョンレポート「家族観、住まい観に関する世代別価値観調査」

引用:https://www.jresearch.net/house/jresearch/vr/pdf/vr2010.pdf

彼らの両親は、古い価値観や権威に反発してきた「団塊の世代」が多いため、逆に自分達は子供に対して自身の価値観を押しつけることはせずに対等な立場として接してきたものと思われる。そのため、彼らと彼らの両親の関係としては、親子でスポーツを楽しんだり、一緒に買い物に行ったりなど、友人関係に近い親しい付き合いを行っている人が多いものと見られる。参考:https://www.suntory.co.jp/culture-sports/jisedai/active/theory/1_5.html

そのような「順風満帆」な家庭環境の中で育ってきた彼らにとって、自身の住まいが「家族との交流の場」であることは望まれて当然の姿であるものと思われる。

 

そうした家族との時間を大切にしたいと考える彼らの中では、共働きや子供の塾や習い事等による現在の家庭内の孤食化を解消しようと「外食による団欒の時間」を重要視する人たちが増えているとのこと。

その中でも、近年、週末に家族で居酒屋を楽しむ「いざか族」の存在が目立ってきている。90年代の居酒屋黄金期に成人の仲間入りを果たした彼らにとって慣れ親しんだ居酒屋が「第二のホーム」として再び有効活用され始めているものと見られる。参考:https://www.j-wave.co.jp/blog/news/2014/01/post-628.html

いざ家族

出典:リクルート調査(2013)「2014年トレンド予測」

引用;https://www.recruit.jp/news_data/release/pdf/20131210_09.pdf

【趣味・嗜好:ガンダムは永遠の友達/ゲームは一生の娯楽】

学生時代に相次ぐTVアニメの放送開始やファミコンブーム真っ只中の時代に育った彼らは自身に関して「オタク」気質であると認めている人が多いとされる。

 

アニメ好きな彼らが好むアニメキャラクター上位5つのうち3つが「機動戦士ガンダム」登場キャラクターが占めており、男性全体と比べ機動戦士ガンダムの放送開始と同時に育った「ガンダム世代」の愛着の強さが伺える。

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出典/引用:マクロミルブランドデータバンク著「3万人調査が語るニッポンの消費生活 世代×性別×ブランドで切る!」

また、発売から35周年を向かえる機動戦士ガンダムのプラモデルである「ガンプラ」は2015年に売上最高高を記録するほどの今尚人気上昇中のコンテンツであり、その売上高のおよそ6割は彼らと彼らの息子の2世代が占めているとのこと。

彼らにとってのガンダムは、少年が成長していく上で欠かすことができない「通過儀礼」として認識されており、そのため自身の「ガンダム愛」を次世代と共有していこうとする「伝承」の姿勢が伺える。参考:president.jp/articles/-/9126

 

また、彼らが行う趣味やスポーツの中で、男性全体と比べて差が見えたのがゲーム(テレビ、モバイル)であり、青春時代ファミコンに没頭してきた彼らにとって馴染み深い娯楽の一つと言える。

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出典:博報堂生活総研-生活総研ONLINE「生活定点1999-2014」

引用:seikatsusoken.jp/teiten2014/

最近では、ドラゴンクエストやファイナルファンタジーなどの当時彼らを熱くさせたファミコンゲームがスマートフォン向けにリメイクされた作品も多く見られ、現在彼らはスマートフォンにおける「長時間ゲーマー」の主な牽引者となっているものと見られる。参考:https://applion.jp/android/matome/famicon/2/

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出典:ファミコン世代がスマートフォンゲームを長時間利用 ~ニールセン スマートフォンでのオンラインゲーム利用状況を発表~

引用:https://www.netratings.co.jp/news_release/2014/01/Newsrelease20140128.html

そのようなTVゲーム好きな彼らが普段遊んでいるジャンルとして、RPGやアクションゲームの人気が高い。ドラゴンクエストやスーパーマリオといった作品が相次いでヒットした時代と共に育った「ファミコン世代」の彼らにとって定番ジャンルと見られる。

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出典&引用:マクロミルbdb「第18期ブランドデータバンク定期調査(2013年12月)」

 

【家族観:自身を肯定できる環境が大事】

この年代の人たちは、家庭に対して「お互いを理解し合いしながら、同じ感覚で過ごしていきたい」とする考え方が他年代の人たちと比べて強い。

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出典:リクルート住宅総研 2015年ビジョンレポート「家族観、住まい観に関する世代別価値観調査」

引用:https://www.jresearch.net/house/jresearch/vr/pdf/vr2010.pdf

彼らの両親である団塊世代は戦後の新たな時代を自身の力で切り拓いていこうとする意識が高く、今までにない生活価値観として多様性や個性化を求め、「個性的でありたい」と望む人が多い。

彼らは、そうした両親の感覚を肌身で感じながら育ってきているため、自分らしさを追及し、自分の姿を認めたいとする「自己肯定意識」が強く働いているものと見られる。

そのため、自身の最も身近な家庭においてその欲求が満たされることを望んでおり、生涯自分を認め支え合えっていけるパートナーや家族を求めているものと思われる。

家族と趣味を共有していきたいと考える彼らの中には、例えば、近年流行りつつある農業体験に欲求解消を見出す男性が増えているらしく、「子供に自然と食を教えていきたい一方で、同時に自分も一緒に楽しみたい」という「一体感」が得られることに魅力を感じているものと思われる。 参考:https://president.jp/articles/-/9126?page=2

 

【結婚観:したいけど出来ないし、したくもない】

彼らのおよそ4~5割が未婚者である。

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出典:統計局「平成22年国勢調査 抽出速報集計結果 結果概要」

引用:https://www.stat.go.jp/data/kokusei/2010/sokuhou/pdf/gaiyou1.pdf

非婚化の進行が問題視されている。彼らが独身であり続ける理由には、

①家庭を築きたくても生活に余裕が無く諦めている

②「独身貴族」に見られるような自由な時間を失いたくない

の大きく2つが考えられる。

 

①に関して、彼らのうち就業者数は860万人であるが、完全失業者数も27万人と多い。

また、就業者の中での賃金格差も大きく、一ヶ月に支払われる賃金額が10~29万の人が4~5割を占めている。未婚者の中には、自身の生活を維持することに精一杯で結婚をしたくても踏み込めない人が多いのではないかと思われる。

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出典:総務省統計局「平成27年労働力調査」

引用:https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/index.htm

②に関して、彼らの中には未婚者で両親と同居を続ける「パラサイト・シングル」化が進んでいる人が2012年には全体のおよそ2割となっている。

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出典:厚生労働省「平成26年賃金構造基本統計調査」

引用:https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2014/index.html

彼らは生活費は親任せで、給料を趣味や余暇、ファッションなど自分のために費やしている。

彼らは結婚することで自身の生活水準が下がり「自由な時間」が失われてしまうことを懸念し、独身であり続けようとしているものと見られる。

 

次回後編では前編に引き続き彼らの「現在」を、④「職業観」⑤「メディア接触態度」⑥「自分」の3項目に視点を当て考察した上で、彼らに対するマーケティングアプローチの有効なチャンネルを明らかにしていく。

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