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2015年01月30日

【2015年のトレンド予測】アルツハイマー型認知症を救う!?フランス生まれの手法

高齢化社会で最も懸念される問題の一つが、型認知症患者の増加という社会問題と言える。現在の高齢者人口(65歳以上)は3395万人で総人口の26.8%を占めているため、4人に1人は高齢者という状況である。更に10年後には、高齢者の人口は3741万人にまで膨れ上がり、3人に1人は高齢者になると予想されている。(総務省統計局のまとめより)

認知症のうち、最も一般的なのがアルツハイマー型認知症である。その原因は脳の神経細胞が関係しており、更にアセチルコリンという神経伝達物質の減少によっておこる障害だと言われているが、そのメカニズムは完全には解明されていない。65歳以上の高齢者に多く見られる病気ということで一般的には老化に伴うものだと考えられている。

認知症は、他には若年性アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症などがあるが、治療法の改善や患者さんとケアギバーのサポートには国をあげて取り組まなければならない状況に至っている。

アルツハイマー型認知症の症状には、大きく分けて中核症状と周辺症状がある。中核症状とは、認知機能障害で、最も有名なもので言うと物忘れなどの記憶障害や、失語障害、判断力低下などの症状を指す。一方周辺症状は周囲の人との関わりのなかで起きてくる症状を指す。

下が、これらの症状を分かりやすく図にしたものである。

森山1

公益財団法人長寿科学振興財団のサイト「健康長寿ネット」より

周辺症状は更に、陽性症状と陰性症状に分けることができる。陽性症状とは暴言を吐いたり被害妄想をするなど、興奮状態に陥るような症状である。一方で陰性症状はその反対で無気力になり、抑うつ状態になるような症状である。当然、重症度やおかれた環境と周りのサポート体制、発症時の年齢、本人の元々の性格など個々に様々な状況があるため一概には言えないが、一般的には陽性症状の方が周りのストレスが大きく辛い思いをされる人が多い傾向にある。

以前、アルツハイマー型認知症に関し、興味深い見解をある精神科の医師から聞いた。それは、「認知症は本人にとっては病気でも何でもないため、いわば社会的な病気である」というものであった。つまり、患者が無人島でずっと一人で生活していく分には、誰も異変に気づくことはなく、迷惑する人もいないと言うのだ。しかし、実際は人間関係や世間の目がある社会で人々は生活している。そのため患者の変化に家族や周囲は動揺し、徐々に社会に適用できなくなっていくため、社会的な病気という見解である。

実は、現在の治療では認知症を治すことは出来ず、残念ながら症状の進行を遅らせることが薬物治療の目的である。また、客観的な基準がないため、薬の効果には個人差があると聞いている。

しかし、難しい病気ではあるものの、現在も新薬に向けた様々な研究が進められており、少なからず将来の光が見えていると私は感じる。

例えば昨年の夏に放送されたNHKおはようニュースでは、革新的な新薬になる可能性を持つ研究の紹介がされている。アミロイドβ(ベータ)というタンパク質が脳の中に蓄積されていくのであるが、これは脳の老廃物のようなものであり、たまっていくと脳神経を傷付けてしまう。これがアルツハイマーの要因の一つであると言う。

滋賀医科大学の遠山育夫教授は、アミロイドβの蓄積状況を鼻の粘膜から調べることが出来るということに注目し、一般の健康診断などで検査されることを目指して研究を進めている。現在行われているアルツハイマーの検査は脳の画像を撮ったり脊髄に注射をするなど、高額で患者の負担が大きいものである。それを手軽な検査として大勢に提供できるようになれば、認知症の治療は早期発見、早期治療が叶う世の中になるかも知れない。

また、早期発見した後の治療法に関しても素晴らしい発見と研究が現在進められている。滋賀医科大学の西村正樹准教授は、問題のアミロイドβの発生を抑える物質が脳内にあるという論文を昨年発表した。この物質の発見が、将来的には新薬の開発に繋がると期待されており、認知症の治療の進化を多くの人が確信したはずである。

薬物療法以外でも、最近話題のココナッツオイルが認知症の予防においても注目されている。アルツハイマーは、脳が必要なブドウ糖を上手く吸収できずに脳細胞が飢餓状態になってしまうために発症するということが分かってきた。しかし、脳のエネルギー源になるのはブドウ糖以外にケトン体という物質もあり、最近はココナッツオイルに多く含まれる中鎖脂肪酸このケトン体の分解と合成を助ける効果があると話題になっている。手軽に日々の食事の中で摂取できるということもあり、アルツハイマーの予防策としてココナッツオイルを日々の生活に取り入れている人は増えてきているようである。

しかし今私が注目している療法はユマニチュードという認知症ケアである。イヴ・ジネスト氏が考案した、フランス発祥の手法でありフランスでは35年前から研究が進められ、医療の現場に導入されているとのこと。日本でもメディアに取り上げられ、書籍も販売されるようになり、医療関係者や現在認知症で悩んでいる方々に注目されるようになってきた。

ユマニチュードが何なのか、NHKの番組「クローズアップ番組」ではこのように説明をまとめている。「認知症の高齢者の暴言・暴力や徘徊など、いわゆる“周辺症状”の対応に悩む医療や介護の現場で、“ユマニチュード”と呼ばれるフランス生まれのケアを導入する動きが広がっている。「見つめる」「話しかける」「触れる」「立つ」を基本に、“病人”ではなく、あくまで“人間”として接することで認知症の人との間に信頼関係が生まれ、周辺症状が劇的に改善するという。」(https://www.nhk.or.jp/gendai-blog/100/180378.html

現在、認知症患者のケアをしている人や、医療現場で働いているスタッフの中には、限られた時間の中で多くの患者さんのケアをこなさなければならず、嫌がる患者さんに対して強引に体を拭いたり食事を取らせようとしてしまうことが多いと言う。しかしユマニチュードでは、どんなに忙しい現場であっても患者さんに何かを強要することはなく、人と人との絆を築きつつ、患者さんもまだ人間なのだということを行動で感じてもらうのである。
ユマニチュードを実践したところ、短時間で患者さんが劇的な変化を見せる様子が「クローズアップ番組」の放送記録で見ることができる。

認知症ケア / ユマニチュード

認知症という病気は、ケアをする側は心身共に辛い事があり、しかも現在では回復の見込みを期待することの出来ない永久戦である。更に今後患者数が増えていく状況を見越して、ケアをする人が患者さんのケアから極力ストレス少なく、患者さんと一緒に喜びを感じられるような方法を普及させていくことは重要である。

アルツハイマー型認知症は早期発見と早期治療が重要だと言われているが、現在は老化現象の一つとして受け入れざるを得ない病気でもある。だからこそ、認知症の治療には薬物療法と非薬物療法の両面からアプローチしていくことが必要である。認知症は社会的病気であるからこそ、周りの理解と最先端の知識を普及させていくことが患者やケアギバーの負担軽減に繋がるはずである。認知症患者の増加は社会問題でもあり、いつかユマニチュードのような手法が学校の必須科目にするような時期が来るのかも知れない。

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