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2014年11月28日

そうだ今日はタイフードにしよう!

先日昼下がりのオフィスでのこと。先輩社員がエスニックな香りを漂わせながら、カップ麺をすすっていた。それが「カップヌードル トムヤムクンヌードル」。ここ何年もこの手の期間限定の企画ものを食してきたが、正直なところ「カップ麺の価格帯で再現できる味には限界がある」ということを身にしみて感じていた。それゆえ、先輩に美味しいと薦められたものの、さほど味には期待しないでいた。

 

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しかし、聞けば「日経トレンディ上半期ヒット商品ランキング」にもランクインする売り切れ必至の商品であるとのこと。

一度は食してみるかということで、早速コンビニで購入してみた。

実際に、食してみるとココナッツミルクとエビのエキスの濃厚なコクの中に、赤唐辛子がぴりりと存在を主張し、続いて鼻に抜けるライムの風味が味に締まりを与えている。そして、レモングラスのさわやかさがスープのコクの中に透明感を出していた。今までのトムヤムクン商品との明らかな違いはこの「本格的」な味だ。完食するまで、嗅覚に、味覚に飽きが来なかった。こうして、私は予想に反して、170円という「お手頃」な価格で、「本格的」な味を楽しめるにも関わらず、お湯を注ぐだけの「お手軽感」があるという驚きのお得感を体験することができた。

そこで、今回はなぜ今タイフードがこんなにも人気になったのかということに着目し、その秘密を探ることにした。

昔はエスニック料理といっていた

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さて、日本で初めてタイ料理が人気を博したのは、1989年頃のこと。バブル景気の中、人々は嗜好の変わったもの、こだわったものにお金を投じていく傾向が高まり、消費の多角化が進んだ。そうした時代の風潮の中で、タイ料理の健康的な食材をふんだんに使ったスパイシー且つバラエティーに富む味が日本人の心をつかみ、人気を博した。当時、タイ料理は「エスニック料理」と称され、中華料理、インド料理、韓国料理のように単一の料理として扱われてはいなかった。しかし、「エスニック料理というのは美味しいのだ!」という新しい発見として、バブル時代の日本は「タイ料理」を迎え入れたようである。

 

タイ料理 国内レストラン件数とタイへの邦人渡航者の増加で認知度UPへ

それがタイからの日本への移民者(2012年度外国人登録者:40146名)の増加と、2003年より、タイ政府が国策(キッチン・オブ・ザ・ワールド:食品産業を国の基幹産業と定め、世界にタイの食材とタイ・レストランの市場を拡大させる)として、世界中に積極的にタイ料理店を増やす計画を推し進めたことで、日本国内にタイ料理店がその数を着実に伸ばしていった(996店[2013年])。

そして、タイへの日本人渡航者数が順調に増加したことで、多くの日本人が本場タイの味に触れる機会が増えた。この2点により、日本国内において「タイ料理」は知名度を高めていったと考える。

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特に、日本人のタイへの渡航者の増加は、帰国後も国内で本場の味を求める傾向を生むことになった。

タイ料理が身近な存在になった現在、日本人は「美味しくて本格的」なタイ料理を求めるようになったのである。

そして、100店舗以上(2013年9月30日時点)のレストランがタイセレクト(タイ国商務省の厳しい審査に合格したタイ・レストランに与えられる基準認定証。日本にいながら、本場のタイ料理を味わえるレストランの証。1999年より指導した「タイランド・ブランド」認定プロジェクトが、2006年に分離・独立した。)の認定受け、国内のタイ・レストランの味とサービスの質は著しく向上させた。

したがって、食品業界がもっとも気を配らなくてはならないのは、消費者の「肥えた舌」である。消費者が「本場の味とメーカー品との比較」ができてしまうため、食品業界はこれまでのように単に「タイ風」の料理を提供するのでは「売れない」時代に突入したといえる。

ブームの火付け役 CNNGoとイナバのタイカレー

そして、このタイ料理人気に拍車をかけたのは、アメリカの人気情報サイトCNNGoが2011年に発表した「World’s 50 best foods」というランキングだろう。マッサマンカレーが世界で一番美味しい料理に選出されると、世界中でマッサマンカレーを初めとしたタイ料理に注目が集まった。

国内メーカーもご多分にもれず、このランキング結果に注目しており、これを契機にこぞってタイフードの商品開発に乗り出していく。

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まず先陣を切って人気を集めたのが、2011年9月に発売された「イナバのタイカレー」。

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125gという量なのに、100円台という「手頃感」と開けてそのまま「本格的」なタイカレーが食べられる「手軽さ」からネットを通じて話題を呼び、徐々に知名度を高めた。そして、発売からわずか半年で大ヒット商品となる。

このヒットは、それまで『本格的なタイカレーは専門店でしか食べることができない』という認識を一気に覆し、タイカレー愛好者のすそ野を広げることに一役買った。また、このヒットは他の食品メーカーにとっても進むべき道の正しさを示した大きな希望になったといえる。

こうして、イナバのタイカレー人気が2014年のタイフードブームの地盤を築いたといえるだろう。

 

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“エスニック”から考察する日本人の世界観

そもそもエスニック料理とは

そもそもエスニック料理とは、民族料理。特に東南アジア、中南米、アフリカの香辛料を利かせた料理をさす。

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しかし、この「エスニック」がどの国を指し示すのかというのは、料理業界の中でも実は定義が曖昧だという。「エスニック」という言葉自体は1960年代にアメリカで使われ始めていたが、日本で登場したのは、1989年ごろのこと。当時は「イタリアン」ブームにより、アメリカ料理、フランス料理、中華料理に「イタリア料理」が参入し始めた頃であった。

時を同じくして「エスニック料理」も1986年に起きた「激辛ブーム」とともにムーブメントを起こした。

アメリカ的でも無く、ヨーロッパ的でもないエキゾチックな雰囲気のある非西欧エリアからきた「ものめずらしい」ものとして「エスニック料理」は日本人に受け入れられていった。

具体的には、1980年代後半~1990年代において、「エスニック料理」とは、カレーを筆頭としたインド料理、韓国料理、中華料理の中でも四川料理と台湾料理、タイ料理、ベトナム料理とその他の東南アジア料理のことをさしていた。

一抜けした韓国料理 

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次に大きな「エスニック料理」ブームを生み出したのは、「韓流ブーム」である。

韓国では、2000年の日本大衆文化の流入制限の第3次開放、2002年の日韓ワールドカップ開催と続く2004年の第4次開放を期に、日本への韓国文化コンテンツの流入が頻繁になる。

特に、2003年から始まった「純愛」をテーマにした「冬のソナタ」の放映をきっかけに、次々と韓流ドラマやKPOPなどのコンテンツが人気を博したことは、記憶に新しい。

これに伴い、韓国のタレントや俳優がテレビ番組や劇中で食す「韓国フード」も人気を集めた。韓国料理はそれまでも焼肉やキムチ、ビビンパなどの料理があることは日本人の認識の中にはあったが、韓流ブームにより、多くの料理に注目が集まるようになった。

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 また、韓国フードは「美容」や「健康」であるというイメージがあり、20~50代の幅広い女性層に人気を集めた。

これまでのエスニックブームとの違いは「食」とともに、音楽・映像などの「文化コンテンツ」を売り出したという点である。

そのため、韓国料理はもはや「エスニック」料理ではなく、身近で独立した料理として認識されていった。しかも、韓流ブームを引き起こした立役者である「主婦層」は、日々の献立を決める「意思決定者」でもあったため、家庭の食卓に韓国料理を急速に定着させたと思われる。

 その後韓国料理に続き、タイ料理、ベトナム料理、インドネシア料理が「エスニック」のカテゴリーから脱却し、独立していった。

 

「エスニック」の今後

 2014年現在、日本人の意識の中で、エスニック料理とは(残った)「中央アジア、中近東、南米、アフリカ」の料理を指すようになったと考える。

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つまり、日本人の意識の中で「エスニック」という言葉は、「謎に包まれた第三世界」を指す。そのため、日本人の世界観の変遷により、エスニックが指す対象は変化している。この点から、今エスニックから抜け出す一番の有力な候補は「ハラールフード」ではないか。世界的にイスラムは政治的、軍事的な注目を集めているが、日本では2020年の東京五輪開催にあたり、ハラールフードという実に平和的な注目は幸いではないだろうか。

 このようにエスニック料理という言葉は、日本人が関心を持ってはいるけれども、まだよくわからないというフェーズで使われ、理解が進むとそのカテゴリーから抜け出す構造になっている。ただし、私はエスニックという言葉をポジティブに捉えたい。なぜなら、それは少なくとも関心の対象になったということを意味するからである。十把一絡げ的な乱暴な用語に聴こえるが、新しい文化に接触する第一歩とも言えるのではないか。

【ご意見ご感想がございましたら、こちらのメールアドレスまでご連絡ください。: goiken@sugataresearch.com

参考・引用文献:

あすなろ出版 カタカナ語の辞典

「東京人」観察学会 1986年エスニックな激辛ブーム 後藤範章

世界の小麦粉教室

世界で一番美味しい料理?うわさのマッサマンカレー

中華・エスニック料理バイブル173レシピ ハンディESSE(Vol.7)ムック1999年6月号

NPO法人 アジア太平洋資料センター エスニックカレーの辛い話 中島浩

エスニック、料理、ダンス、アジア旅行

脱中間エスニック これからはASEAN,ムスリムのハラル食品に MSN産経ニュース

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バブル景気の余熱とその崩壊時期

マッサマンカレープレスリリース

「世界で最もおいしい食べ物」がデニーズに登場!!デニーズ エスニックフェア開催のお知らせ

DIME 2014年1月号

https://matome.naver.jp/odai/2131001646998974401/2131001777199018803

https://hitosara.com/tlog_13027506/

https://www.value-press.com/pressrelease/106006

https://travel.cnn.com/explorations/eat/worlds-50-most-delicious-foods-067535

https://www.am.mufg.jp/fund/sp/asean/about/hikaku/etc.html

https://www.waiwaithailand.com/shoplist/restaurant.html

 

 

 

 

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