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2014年11月28日

「かけ×ちゃいましたがそれってアリなの?ナシなの?」~「意外な組み合わせ」の「脱構築」、その背景とは~

これまで3回に渡って、意外な組み合わせの具体的な事例を取り上げながらアタリ・ハズレの分岐点について考えてきた。最終回となる第4回は、そもそもなぜ今このような「意外な組み合わせ」が巷にあふれ、注目されているのか、その背景について考察し連載を締めくくりたいと思う。

第1回目の冒頭でもふれているが、景気の先行きが不透明であり、社会全体からすると保守的な価値観である現在において、なぜこのような「意外な組み合わせ」による「脱構築」がなぜ今もてはやされているのだろうか。高度経済成長期後の「脱構築主義」「ミスマッチ」などと同じような意味で流行っているのだろうか?この疑問に答えるため、まずは3回の連載で分かったことをまとめる。

3回の連載を通して分かったことは、現在の「脱構築」ともいえる「意外な組み合わせ」にはいくつかのパターンが見られるが、「アタリ」に共通しているのは中核価値を以前の製品から引き継ぎつつ、周辺価値においてなんらかの変更、技術的・製品的進化が加わり、その「モノ」自体が変化している事が特徴である。

例えば、第2回で取り上げているノンアルコールドリンクやにおわなっとう、ノンフライヤーや羽なし扇風機。各製品がヒットした背景については第2回で述べているので、そちらをご参照いただきたいが、いずれの製品も背景にはFunctionalな面での変更・追加がなされ、製品として変化・進化している。

【ノンアルコールドリンク】

・アルコールを抜き味わいは十分。お酒を飲めない人・ケースにも対応

【におわなっとう】

・臭いをとりのぞいたが、味わいは納豆。臭いが原因で食べられなかった機会にも食べられるようになった

【ノンフライヤー】

・油なしでおいしいフライができ、ヘルシーで健康的

【羽なし扇風機】

・羽をなくすことによっ
て、安心・安全

また、第3回で取り上げた都会のバーベキューにおいても、遠いキャンプ場ではなく近くの都会で手軽にバーベキューというFunctionalが追加されている。

これらの製品が成功した要因として、ソフト面での中核価値が失われていない、つまり家族や仲間との団欒や「家族の幸せ」といった「体験の購入」、いわゆるEmotional Benefitが本来の価値のまま担保されていたことは第3回で指摘した。

 ソフト面=Emotionalを訴求することはこの20年、さまざまな企業・製品が行ってきたことである。高度経済成長期以降、モノが売れない時代が到来し、製品自体での差別化が難しくなり、商品イメージから始まって、コーポレートイメージ、それら二つを組み合わせたブランドイメージにいたるまで、さまざまなEmotionalな面での消費者への働きかけがなされてきた。ブランディングなどはその最たる例である。この20年、同じような製品に他社とは違ったEmotionalな付加価値をつけてどう魅力的に見せるかということを模索してきたといっても過言ではないように思う。つまり、Emotional Benefitによって製品を差別化させてきたといえる。

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西武百貨店の「おいしい生活」というキャッチコピーは当時「生活総合産業」を標榜していた西武百貨店にとって、

都会的で洗練された「生活」の発信地とするイメージ戦略を展開する上で重要な役割を果たした(出典: Wikipedia)

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そのもの自体の価値よりも「ブランド」など「イメージ」による消費を謳歌したバブル期

このEmotionalによる製品の差別化とは、いわば首の挿げ替えであると言える。製品そのものは変わらず、上部に位置するソフト面での価値(Emotional Benefit)を変化させることによって、その製品・サービスに新たな価値を付加している。

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それに対して、現在は、首はそのままで胴体を入れ替えていると言える。製品のEmotional Benefitはそのまま、その下部に当たる         ハード面=Functional Benefitでの変更により、新たな価値を生み出しているのである。

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 これがかつての「脱構築」と現在の「脱構築」の決定的な違いだと言えるであろう。バブル期においては上部構造、イメージの変化であり、現在においては下部構造、製品そのものの変更により価値が生み出されているのである。

では、なぜこのような下部構造の変化というものが人々に好まれているのだろうか。

そこには東西冷戦の終了、9.11を端とする世界の流動化、経済の著しいグローバル化という世界的な社会の下部構造の変化とのシンクロがあるように思える。

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