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2014年07月25日

ボードゲームとは ~ボードゲーム人気の再燃~

近年、ボードゲームとは、コンピュータゲーム等との対比で、実際に人が集まって「ボード(盤)の上で遊ぶゲーム」の総称をいう。人生ゲーム、モノポリー、ジェンガなどがこれに含まれる。わが国では、1980年代には、人気キャラクターやテレビ番組とタイアップしたものや、その時々の流行を取り入れたゲームが数多く作られていたが、家庭用コンピュータゲームが台頭してくると人気は下火になり、当時何百とあった国産ボードゲームも現在ではほとんどが絶版になった。

そのような中、1995年にドイツのボードゲーム「カタンの開拓者たち」が発売されると国内のボードゲーム愛好家の間で話題となり、これを皮切りに愛好家の中でドイツをはじめとする海外ボードゲームの認知度が高まり始めた。Source:ボードゲームカタログ201

2012年には、ボードゲーム「人狼」のネット層での人気が高まり、国内初の商業イベントが開始されたことで、ファン層を着実に伸ばしていった。Source:4Gamer(2014.4.5)

そして、2013年、「人狼~嘘つきは誰だ?~」(フジ系)や「ジンロリアン~人狼~」(TBS系)といったテレビ番組が放映されたことで、愛好家以外の層にも知名度が上昇した。Source:日本経済新聞電子版(2014.7.10)

2014年6月1日には、15回目の開催となるアナログゲームの祭典「ゲームマーケット2014年春」が、東京ビックサイトで開幕。参加者人数は延べ6000人(前年比1.3倍)、出展社数330以上(前年比70店舗増)と、ますますの盛り上がりを見せた。中でも、海外からの出展も目立ち、日本のボードゲームマーケットが国際的に評価され始めていることを物語っている。Source:4Gamer(2014.6.28)

ボードゲーム業界、抱える問題 ~面白さを伝える難しさ~

このように、国内のボードゲーム市場は、近年賑わいを見せ始めている。しかしながら、ボードゲームは説明書をしっかりと読み、実際に遊んでみない限りは面白さや奥深さが伝わりづらい。「カタンの開拓者たち」のような傑作といわれるゲームでも、やってみなければわからないために、多くの人は手が出しにくかった。

このようなボードゲームの特徴から、愛好家以外の一般層に浸透しづらい面があり、これが市場を拡大させる上での大きな障害であったが、この障害を独自の工夫で乗り越えようとしているお店がある。

ボードゲームの面白さの具現化 ~面白さを伝える工夫~

2006年に東京都杉並区高円寺に開店したボードゲーム専門店の「すごろくや」という店を紹介したい。

ボードゲームは、ゲームの中で参加者同士がコミュニケーションをとるというところに最大の魅力がある。この魅力を上手く伝えているが、当店である。

「すごろくや」は、メディアでの注目度も高く、ボードゲームの記事を調べれば必ず見つけられる名前ともなっている。

そこで今回は、この「すごろくや」に伺い、ボードゲームの魅力を伝えるための工夫を見てくることにした。

門戸の広さを演出する店内 

Photo 1 すごろくや 外観

「すごろくや」はJR高円寺駅南口から、徒歩0分のところにある。JR総武線三鷹方面の列車に乗ると、窓越しにゲームで遊んでいる人が見受けられる。

ビルの4階にある20畳ほどのワンフロアにある店内には、常時400種類以上のボードゲームが揃えられている。

店内は、大きく分けて3つのセクション「キッズ&お手軽」コーナー、「名作&おすすめ」コーナー、「じっくり楽しむ」コーナーに分かれている。

photo 2 すごろくや 内装 ボードゲーム入ってまず目に飛び込んでくるのは、「ごきぶりポーカー」やおならをした犯人がだれなのかを当てる「プゥー」など見ているだけで、面白く、色鮮やかで何とも楽しげな絵の描かれたパッケージとネーミングのゲームである。

並んでいたボードゲームのパッケージは、デザイン性が高く、ディスプレイの仕方と相俟って、まるでおもちゃ博物館を訪れたような気持ちにさせる。このような店内演出により、自分はこの店に受け入れられているという気持ちになる。限られたマニア向けという先入観は一瞬で思い違いだったと思わされた。

私が店を訪れた日は、店には入れ代わり立ちかわり客が訪れ、盛況となっていた。いかにもオタクといったマニアが目当てのゲームを物色する傍らで、小奇麗なカップルが楽しげに会話を弾ませ、ゲームを吟味し、またその横では若いパパが小さい子供と一緒に遊べるゲームを探している。どの客も目をキラキラと輝かせながら、楽しげに会話を弾ませていた。

ボードゲームの本質を伝える仕組み 

(1)ソムリエのような接客体制

しばらくすると、店員の方から「どんなゲームをお探しですか?」と笑顔で声をかけられた。そして、一緒に遊ぶ人の年齢、ボードゲーム経験年数、人数、好みなどを聞かれ、さらに私は、「ボードゲームは人生ゲームを遊んで以来だ」、「家族で遊べるゲームがいい」ことなどを告げた。

すると、「じっくり楽しむ」ゲームは、説明書を1時間ほども読みこまなくては正しく遊べないので初心者には向かないこと、ボードゲームは簡単なものから徐々に難しいゲームへとレベルアップしていくことがいいこと、そしていくつかのゲームについて面白いポイントはどこで、難しいポイントはどこなのかというのを懇切丁寧に説明してくれた。

この接客体験はまるでワインソムリエと会話をしているような感覚であった。

そこにはボードゲームを売ることを目標にしているのではなく、ボードゲームの本質や楽しさを伝えることを目標にしている接客方針を感じた。このような店員との会話を重ねながら、顧客は少しずつボードゲームの楽しさに気づかされるのだろう。

(2)Non verbal communicationを楽しむ ~楽しさ、難しさを実践の中で味わう~

photo 3 内装机しかしながら、ボードゲームの本質とは何なのだろうか。

実際に遊んでみなければ面白さを実感できないと思い、ルールの説明を受けながら店内にあるテーブルで遊ばせてもらった。

遊んだゲームは、「イチゴリラ」というゲーム。対象年齢3歳から遊べる神経衰弱ゲームである。

トランプで遊ぶ神経衰弱とは違い、裏面のイラストが9種類あり、しかもゴリラと悟空、サンタクロースと泥棒のイラストが似ており、実に紛らわしい。 Photo 4カード

そのため、ビジュアルでなんとなく場所を覚えるという手が使えない。

また、「あ、そこをめくられるとまずいぞ。」「よし、そこがサンタクロースだから、めくるべきはここか。しめしめ。」など対戦相手との心理戦が面白い。ただひたすら、相手の表情やしぐさ、行動傾向などのNon verbal communicationを分析して戦うものである。だから、単に記憶がいいだけでは勝てず、相手を読まなければ勝てない。もはや、口に出された相手の言葉はあてにならず(むしろフェイクだったりするので)、相手の表情、一挙手一投足に細心の注意を払うことが、勝利に近づくポイントであり、そこにこそボードゲームの楽しさがあるように思った。

(3)販売する商品への愛情  Photo 5 ゲーム説明書

また、店内にはこの店独自のゲーム説明書が置いてあった。この冊子の面白いところは、ゲームの紹介やルール説明などの基本情報だけでなく、ゲームの面白いポイントやほかの商品との違いなどが記載されている点である。これも、店員の方が自ら遊んでいるからこそ成せる工夫であろう。

「すごろくや」で扱う商品は輸入物でも、すべて日本語の解説書がついている。以前あるインタビュー記事で、店主の丸田康司氏は、海外から取り寄せるものは、店で翻訳し、ルールブックを付けるという工夫も話していた。また、ゲームを解説する無料の自社制作DVDがついているゲームまであった。

オフラインでのソーシャルネットワーク ~圧倒的な情報量の多さ~ 

すごろくやの営業活動は店舗だけに留まらない。すごろくやでは、お店主催のイベント「親子でボードゲームとお寿司」や「すごろく夜」の開催や、東急デパートのおもちゃ売り場への出展、ネットカフェでボードゲームを無料で貸し出す「すごろくゲームスポット」などボードゲームの楽しさを伝えるための活動を積極的に行なっている。

そして、これらのイベントに参加した人々により、ボードゲームコミュニティが形成されている。

ここで形成されたコミュニティは、流行のオンラインでのソーシャルネットワークではなく、顔を見ながらインタラクティブなやりとりを行なえるオフラインでのソーシャルネットワークだ。

ボードゲームの楽しさは、先にも書いたように、全身全霊で対戦相手の表情や仕草を感じ取ることである。この楽しさはオンラインよりも、オフラインとの親和性がはるかに高いものである。つまり、すごろくやが行なっているオフラインでのソーシャルネットワーク活動は、それ自体がボードゲームの本質的な価値を表している。

顔を合わせたコミュニケーションが行なえるボードゲームは互いを深く知る機会を与えてくれるため、多くの自治体や学校教育の中で取り入れられつつあるようだ。

また、合コンや就職採用試験など相手をよく理解する必要のある場面でのボードゲームの活用が期待される。

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