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2014年07月04日

食玩~ついにプロジェクションマッピング~ 

私は子供の頃、めったにお菓子やおもちゃを買ってもらうことができませんでした。お菓子もおもちゃもどちらも一度に手に入れることができる、おもちゃ付のお菓子は夢のような商品でした。今回は、多かれ少なかれ、誰しも一度くらいは購入した経験があるであろう、『食玩』についてフォーカスしてみようと思う。

食玩(しょくがん)とは食品玩具の略です。おまけとして玩具(人形、カード、バッジなど)を添付した食品(もしくは飲料)の商品様態の総称である。業界用語では玩菓(玩具菓子の略)とも言われる。玩具業界では食玩は「食べられる玩具」(玩具の形をしたお菓子。風船ガムもこれに分類される)という意味で使われていたこともあり、玩具菓子の方が使われている。

【日本の食玩の歴史】 ※参考資料:Wikipdia

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◆日本における食玩の歴史は江戸時代の富山の薬売りまで遡ることができる。日本中を旅する薬売りは、毎年訪ねる得意先との信頼を維持するためのツールとして、売薬版画や紙風船等の玩具を薬のおまけとして提供していた。また、地方の人々へ江戸文化を伝える媒体の一つでもあったようです。

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◆商業食玩として地位を確立したのは、1899年に村井兄弟商会がタバコにタバコカード(トランプ花札、軍人の写真、西洋の女性画のカード)を付けたもので、これが食玩の実質的な始祖となる。余談として、子供がカード目当てにタバコを吸う事が問題視され、翌年未成年者喫煙禁止法が成立した。

◆村井兄弟商会のタバコと同じ手法を使って人気を博し、食品玩具という販促手法が確立させたのは、江崎グリコのグリコである。1927年に創業者江崎利一の「子供の二大娯楽、食べることと遊ぶことを同時に満たしてあげたい」という方針により、キャラメルに玩具を同梱した商品の販売を開始した。創業者の江崎利一の意志により、公式にはおまけとは呼ばず、玩具とお菓子は対等に扱われている。

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◆1964年には明治製菓のマーブルチョコレートに、鉄腕アトムのシールをつけて発売された。商品自体も7つの色のチョコレートとして一躍子供達に爆発的な人気となるが、発売当初よりシールをおまけとして付いていることが話題になった。これが、キャラクターをおまけにした初めての食玩となる。以降、TVキャラクターの食玩化が激化しはじめる。

◆1971年にカルビー製菓の仮面ライダースナックが発売され、仮面ライダーの特製名場面カードが付属する。子供達の間で大流行になり、おまけの特製名場面カード目当てに菓子を買い、食品本体は捨てられるという社会問題が発生した。その後も雪印食品や丸大食品などで様々な特撮ものや戦隊もののおまけを付ける製品が発売され続けている。

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◆1985年にビックリマン 悪魔VS天使シールが誕生する。類似商品の乱発や、子供達の間でのシールの売買、公正取引委員会の介入等、様々な問題を生んだ。また、今まで漫画やアニメをおまけの原作として来た食玩が、逆に漫画やアニメの原作の立場になった初めての食玩でもある。本製品の成功を受けて、駄洒落交じりのシールをおまけにした食玩が続々と誕生する。

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◆1997年にカンロからキンダーサプライズが販売される。卵形チョコレートの中に玩具が入っている。イタリアのフェレロ社から日本フェレロ社が輸入した製品で、日本での販売は2度目。2年後に始まるチョコエッグの流行の先達となる。

◆1999年にフルタ製菓のチョコエッグ 日本の動物シリーズが発売される。キンダーサプライズ同様、卵形チョコレートの中に玩具が入っている。企画段階から実力のある模型メーカーが参加した事に由る造形の質の高さだけでなく、TVキャラクターの様な流行り廃りがない点やシークレットアイテム(公表されているラインナップに掲載されていないアイテム)の混入が功を奏し、大人をも巻き込んだ社会現象を生んだ。業界の拡大、質の高水準化、主力購買層の高年齢化等、食玩・フィギュア業界に与えた影響は大きい。

◆1999年に不二家のミニミニペコちゃんが販売される。大人の女性に大ヒットし、これまで子供と大人のマニアが中心だと思われがちだった食玩の購買層を大きく広げた。本製品以後、食玩市場は大人に注目し始める。

【食品玩具がおまけからメインへ】

1899~1970年代頃までは食玩は、あくまでも食品がメインで玩具はおまけであった。ところが、1981年に食品メーカーが主な市場であった食玩市場に玩具メーカーのバンダイが参入したことにより、食玩市場は大きく変化したと思われる。

バンダイは、「お菓子+おまけ」色の強い従来の食玩ではなく、玩具メーカーの強みを生かした人気の高いキャラクター(ポケットモンスター、アンパンマンなど)で「玩具」色の強い食玩を売り出すことで、食玩市場の売り上げを伸ばしていったと思われる。今では、食品玩具市場の49.6%と、トップに君臨している。(売り上げ上位3社は、バンダイ、トミー、カバヤ食品の順となっているようだ。)

また、上記でも述べたように、仮面ライダースナックのように、おまけの特製名場面カード目当てにお菓子を買い、食品本体は捨てられれしまうといったことや、1992年に発売したカルビー製菓のJリーグチップスに付属していたサッカー選手のカードだけが盗まれるといったことが問題視されることもしばしば起こっていた。現在の食玩のほとんどは、ラムネやガム、飴といった、数粒程度のお菓子しか添えられていないが、こういった食品の処分問題を避けるためにとられた苦渋の選択だったとも考えられる。(食品の流通経路で販売する事を目的としている部分もあるが)

【子供から大人も楽しめる食玩へ】

さて、なぜ、食玩がこれだけ子供や一部のコレクター以外の一般の人々にも受け入れられるようになったのでしょうか。

フルタのチョコエッグでヒントが得られる。

チョコエッグが発売された当時は1つ150円前後だったが、この値段で、おまけとは思えないほどのフィギュアの完成度の高さに感心した大人までがこぞってチョコエッグを買い始めた。(チョコエッグに使われたフィギュアを手がけていたのは、造形物の精巧さや造形センスは世界屈指の水準を誇るといわれている海洋堂です。)Source: 海洋堂

当時のお菓子のおまけには、色もついていないようなおもちゃばかりで、50~100色を使ったフィギュアはどこにも存在していなかった。ニホンザルには20~30色、クワガタやアマガエルには40~50色と異例の色彩を使用している上、造型に関しても他のおもちゃとは段違いのクオリティで食玩ブームの火付け役となった。この頃から、他社製品でもクオリティの高い食玩が売られるようになってきた。

当時、キャラクターものが氾濫している中、フルタ製菓は有名キャラクターが使えなかった。そこで、相談を受けた海洋堂が動物フィギュアを提案したのがきっかけである。それが功を奏し、一般の人も受け入れやすいものを対象にしたことにより、年齢や性別を超えてあらゆる世代の人に受け入れやすい要素となったようだ。

そして今では当たり前になっているが、チョコエッグが初となるシークレットアイテム(公表されているラインナップに掲載されていないアイテム)を入れることによって、シークレットアイテムのことをまったく公表していなかったにも関わらず、消費者の間で口コミが広がり、話題性のある商品として爆発的な人気を博した。

大抵の食玩はブラインド方式をとっているので、当然、箱の中を開けてみないと、何が入っているかわからない。通常、買い物をする上で、何が出てくるかわからないものはマイナスな要素でしかなく、買いたくないはずである。しかし、「玩具」は本来遊ぶものであり、遊びには「面白さ」が不可欠なので、何が出てくるかわからないという要素は逆に遊びにおいては、ギャンブルに似た「面白さ」を感じさせる。

ところが、人は潜在的に射幸心(しゃこうしん:人間の心理として幸運を得ることを願う気持ち。まぐれ当たりによる利益を願う気持ち)を持っている。この射幸心はわりと厄介で、GREEのガチャが射幸心を煽るなどとして、規制がかけられたこともあるほど、ギャンブル性が高い。食玩もブラインド方式なので、開けるまで何が出てくるかわからないといった部分はギャンブル的な要素も含まれる。

ブラインド方式だけならば、そこまではまることはないのかもしれない。しかし、ブラインド方式+シークレットアイテムという2段階がこの射幸心をくすぐり、「ちょっと買ってみよう」、「ちょっと揃えてみよう」という気持ちにさせ、大人をも夢中にさせているのではないだろうか。

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つい最近、バンダイから世界初のスマートフォンを使って楽しむエンターテイメント型の食玩、「ハコビジョン」が発売された。この「ハコビジョン」が他の食玩と違うのは、プロジェクションマッピングを疑似的に体験できるという点だ。 Source: プロジェクションマッピングとは

箱の中には、フィギュア(板状のプラスチックに対象物が立体的に彫られているもの)、クリアプレート、ガムがそれぞれ1つずつ入っており、箱の側面にあるQRコードを読み込むと、YouTubuのページにアクセスできるようになっている。スマートフォンを箱の上に置くと、箱の中にセットしたフィギュアとクリアプレートに反射した映像がフィギュアと重なり、立体的に映像が見える仕組みになっている。

私自身も、この「ハコビジョン」を購入し、実際に体験してみた。この時、職場の同僚たちと一緒に観たが、周りから「おお!凄い!」という感嘆の声が次々と上がっていた。

私自身も臨場感のある映像に、引き込まれていくのを感じた。約6分ほどの映像であったが、充分に見応えはあったと感じた。

海洋堂はフィギュアそのもののクオリティを色彩や造形といったもので一線を画し、フィギュアという単体で消費者を魅了してきた。これとは反対に、バンダイはスマートフォンやYouTubuといった、複数のツールを組み合わせることで、消費者を魅了することに成功したように思える。

村井兄弟商会がタバコにタバコカードを付けてから、日本の食玩の歴史は優に100年は超えている。

最初はカードやシールといったシンプルなおまけが主流だった。その後、ボトルキャップやフィギュアといった多様な玩具が出回り、食玩市場は常に進化を遂げている。

しかし、今も昔も、食玩を買う最大の魅力はアイテムをコレクションしていくことにある。そのためには、手軽な値段で気軽に買えるものではなくてはならない。でなければ、ちょっと買ってみようとか、失敗しても良いという気持ちにならず、つい手を出してしまうような射幸心にふれないからである。

今と昔、食玩の魅せかたは違えど、食玩の王道はコレクション性にあるということは何年たっても変わらない様に思える。

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