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2013年11月01日

【ネットワーク社会に見られる、新たな消費欲求構造】~仮説①欲求六段階仮説の検証~

 心理学写真者マズローの欲求五段階説では、人間の基本的欲求を五段階の層に分けたピラミッド型で表現しています。低次の欲求が満たされると、人は高次の欲求を求めるという考え方です。

 欲求五段階説では、第四段階層に位置する「他者から認められたい、尊重されたい」という「尊厳欲求」が満たされた後の、欲求の最終階層に「自己実現」をあげています。

 自己実現とは、自分自身の持っている能力・可能性を最大限に引き出し、創造的活動をしたい、目標を達成したい、自己成長したいという欲求のことです。すなわち、消費活動においては「なりたい自分になるための消費」と言えます。

 現在、英会話教室や料理教室、資格獲得に向けた講座受講、キャリアップセミナーの加など、自己投資や自分磨きを名目にした様々な「自己実現」支援サービスが存在しております。

 しかしながら、ネットワーク社会の人々の間で、このような自分のためだけの投資ではなく、他人に貢献するための「Social消費」という新たな消費の姿が広がりつつあります。かつての物質社会におけるモノ消費や、情報社会におけるコト消費とは異なる変化が起こっているものと考えられます。

 そこで、「Social 消費」という新しい消費の姿をヒントに、心理学者マズローが唱えた欲求五段階説とは異なる「新たな欲求段階説」の仮説を作りました。

本記事より三回にわたり、三つの新たな欲求構造に関する仮説を探究していきます。

・欲求の最終段階層は自己実現ではなく、その上位に新たな欲求ステージが発生したと考える「欲求六段階仮説」

・社会の発展段階が、第五段階層から第四段階層へと後退したと考える「欲求段階後退仮説」

・現在、第四段階層である尊厳欲求と第五段階層の自己実現が逆転したと考える「最終欲求逆転仮説」

まず今回は、「欲求六段階仮説」を探究していきます。

 新たな欲求ステージが生まれた背景として、「なりたい自分になるための消費」に見られる「自己実現消費」に向けていくら精を出し続けても、満足へのゴールが見えてこない消費者が増えてきたのではないかと考えられます。

 そこで欠けていたのは、自分自身を認めてあげるための「自己肯定」であると思われます。自己肯定とは、自分の価値を認め、自分を受け入れることを指します。自分で自分のことを評価(=称賛)出来ることが必要であると気づいたと言えます。

 しかしながら、現代社会の若者像の特色として、「自身に対する自信が持てない」いわば「自分を認めてあげられない」人達が増えていることが挙げられます。

 理由としては、不況による長い低迷時代の中で、将来に対する明るい展望が描けない環境で育ったことによる自身への‘‘不安感”や、保護者の「過保護」や「過干渉」により、自立しきれず精神的にもろく挫折しやすい‘‘脆弱性”により、自己肯定感が不十分な若者が増えたことが影響しているものと考えられます。

 そうした中で彼らは、自分からの評価や称賛を得るための手段として、「他人」を利用し始めたのではないかと思われます。

 第四段階層の尊厳欲求は、あくまで他人からの評価、称賛を得ることでその欲求を満たすのに対し、この新しい欲求ステージでは、自分を認めるのはあくまで自分であり、そのための手段として他人を利用するという違いがあります。

 すなわち、やや厳しい言い方になりますが、Social 消費に見られる、他人のために尽くし、他人に認められるための「利他消費」は、いわば自身を認めるために、他人を利用する「自慰消費」と言えるのではないでしょうか。

 矛盾のように感じられる「自己肯定のための利他消費」は現在の容易に誰かと繋がることができるネットワーク社会ならではの消費の姿ではないかと思われます。

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