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2013年09月20日

エモーショナルの終焉か・・・?

近年、アイス業界では、大人層をターゲットとした「プレミアムアイス」が急成長しています。例えば、2012年8月に明治が発売した「meiji THE PREMIUM Gran」(以下、グラン)が発売当初の販売計画を大きく上回り、一時販売休止になるほど(11月12日に販売再開)好調な売り出しをみせています。また、2005年から発売された森永乳業の「パルム」は2011年に売り上げ100億円を突破しています。Source:日経トレンディネット

「プレミアムアイス」の元祖をたどると、1971年に明治乳業が発売した「レディーボーデン」まで遡ることができます。発売当時は高級ホームアイスという新しいタイプのアイスクリームとして話題になりました。そして、「プレミアムアイス」というカテゴリーを確立したのは、「ハーゲンダッツ」だと思われます。一昔前までは、アイスのターゲット層は子供でした。しかし、未ターゲット層である大人に着目し、テレビCMなどで大人の高級アイスクリームというイメージを打ち出し、成功を収めました。

アイスクリーム協会の調べによると、アイスの売り上げ市場は緩やかですが、年々増え続けています。販売金額が伸びている理由には、アイスへの価値観が変わってきたこと、アイス業界全体が新たな購買層(大人)を開拓していることが予想されます。

GRAN 明治は「グラン」を作るにあたって、20~60歳の男女をターゲットとし、プレミアムアイスにおける重視度、満足度を調査した結果、プレミアムアイスクリームユーザーが重視し、その期待が最も満たされていない項目は、「ミルクの多い味」(未充足度24.3%)であるとし、お客さまの満足を高める新しいプレミアムアイスクリームの価値として、“ミルクのおいしさを極めること”に着目しました。Source:明治

さらに消費者のプレミアム=贅沢に求める価値観の変化にも着目しました。「近年では消費者の間で『失敗したくない』という意識が強く、ぜいたく品でも世界観より中身を重視される」(宮本氏)。そこで、明治が培ってきた技術を集結させた「グランミルク製法」により、ミルクの豊かなコクと味わいを出すことによって、よりプレミアム感を出すことに成功しました。

 

アイス ヒトParm 森永乳業の「パルム」がターゲットにしているのが「大人」です。「少子化・高齢化のなかで、アイスも大人マーケットを取っていかざるをえない。しかしスタートした7年前は 小売店に売り込んでも『大人がアイスを食べるのか?』と言われた」(森永乳業 冷菓事業部 佐々木正春冷菓マーケティンググループ長)。しかし、ベテラン俳優の寺尾 聰がパルムを食べるテレビCMが話題となり、「大人の男性でも人前で堂々とアイスを食べてもいいんだ」という意識が広がりました。さらに「リーマンショック後、消費者のお金の使い方が変わりました。そこで『日常のちょっとした贅沢』を狙おうと決めた」(同)。同社では「デイリープレミアム」を前面に打ち出し、コミュニケーションを展開しました。そのなかでポイントとしているのが「1人の時間」です。

「今までアイスといえばみんなでワイワイ食べるイメージだったが、パルムのコンセプトは自分のためだけに使える時間をサポートすること」(同)。1日の中で気が抜ける、自分ひとりだけの時間を楽しむことをマス広告やウェブサイトなどで訴求しています。

従来のマルチパックはファミリーユースが中心だったが、パルムでは単身者を含む30~50代が多いということです。Source:日経トレンディネット

2013年に、「ハーゲンダッツ」がショップアイスの完全撤退をして、周りを驚かせたことは聞くに新しいことと思います。理由としては、店舗での売り上げが全体の数%であり、元々の目的がブランド周知であったということです。もしかすると、アイス市場で家庭用の「プレミアムアイス」が活性化し始めたことにより、「ハーゲンダッツ」も「プレミアムアイス」の活性化に注力を注ぐため、ショップアイスに関心を向けていられないというのが本音なのかもしれません。

今後、少子化・高齢化が進む中で、アイスに限らず、大人マーケットの重視があらゆる分野で必要とされるかもしれません。今までは、大人マーケット=贅沢品=エモーショナル(高級感、特別感、世界観など)を中心としたマーケティングがされていましたが、長引く不況の中で、エモーショナルのような感覚的なことに対してお金をかけられない(かけたくない)という消費者の節約心理が定着していると思われます。しかし、消費者は節約するだけという状況にも飽きはじめ、実利的、美味しさなどの根拠、実績があるものであれば、少し高くても買っても良いという心境の変化が起こり始めたように思われます。そのため、「グラン」のように、ぜいたく品でもエモーショナルではなく、ファンクショナル(商品そのものの成分や美味しさ)を追及する回帰現象が起こっているのかもしれません。

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