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2013年06月14日

ヤマダかつてないゲーム

キャプチャ 家電量販店最大手のヤマダ電機が昨年6月からソーシャルゲームサービスの提供を始めたことをご存じだろうか。つい先日、テレビを見ていて「ヤマダゲーム」なるもののCMを目にし、「ヤマダ電機がゲーム?いったいなぜ?」と疑問に思い、調べてみることにした。

まず第一に、「ヤマダゲーム」は、店舗への集客とヤマダ電機のブランド力の向上を一番の目的としているだろう点が、既存の「GREE」や「Mobage」などのソーシャルゲームプラットフォームとの大きな違いである。つまり、ゲーム自体から収益を上げるのではなく、ゲームを通して最終的に店舗に足を運んでもらうという、O2Oのコンセプトが基調となっている。

ソーシャルゲームを通して店舗に足を運んでもらうための仕掛けとして、ヤマダゲームは「実利あるゲーム」というものをコンセプトとしている、とインタビューの中で飯塚副社長は語る。Source:アプリパーティ ファミ通.com

「実利あるゲーム」とはいったい何であろうか?

そもそも、ソーシャルゲームは得てしてゲームが終わればそれでおしまいであり、単純な時間つぶしや趣味、娯楽である。プレイが終わったらそれまで使ったお金も時間も何も残らない。しかしながら、「ヤマダゲーム」はここに、ゲームをすればヤマダのポイントが貯まる、プレイするだけで抽選で家電が当たる、家電が安く買える、などの使ったお金や時間が無駄にならない、というようなコンセプトを組み込んだ。これが「実利のあるゲーム」である。

キャプチャ1 これは実店舗をもつヤマダ電機ならではの取り組みといえる。また、これによって店舗へ足を運ぶ機会、ヤマダ電機というブランドへの親しみの強化を図れるといえる。そして、今まではただゲームで遊ぶだけだったユーザーにとっても、これは魅力的なコンセプトかもしれない。「どうせ遊ぶならヤマダゲームで遊んだ方がお得」と思ってもらうことが、なんとなく暇な時間にゲームをやっているようなユーザーを取り込むきっかけとなる可能性はある。

しかしながら、そもそもゲームの本質的な楽しみは「ただ遊ぶ」というところにあるように思える。時間やお金をただ浪費するということが「ゲームの楽しみ」の主たるものであり、それは、いわゆるバタイユが言うところの「蕩尽による享楽」ではないだろうか。

バタイユは、人間の喜びや快楽の本質は「生産・蓄積過程」ではなく「消費・蕩尽過程」にあるとし、人間が心から満足したり充足感・生きがいを感じるのは貯めこんだ財やエネルギーを、生産性や損得とは関係なくただ「消費・蕩尽」することにあると唱えた。

つまり、ゲームに経済合理性を持ち込むということ自体が本質的にそぐわないのではないだろうか。経済合理性を持ち込んだ時点でゲームはその本質を欠くことになり、ゲームの面白さは損なわれ、人が「夢中になる」要素が欠けてしまうように思われる。

ヤマダゲーム 一見「うまい!」と思える「実利あるゲーム」というコンセプトは、このようなゲームの本質に照らし合わせてみた場合、そもそもこのコンセプト自体が自己矛盾しているのではないだろうか。

とはいえ、世の中ポイントが溢れ、またそのポイントのゲットに邁進している人もたくさんいる。その上、抽選で家電が当たるというようなギャンブル的(享楽的)な要素も仕込んであるのでもしかしたら夢中になる人も多いかもしれない。

現時点では簡単な道のりではないように感じるが、「ヤマダゲーム」がこの先どのようになっていくのか興味を持って見ていきたい。

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