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2013年05月24日

シニア向けスマートフォン:マイナスアプローチによるプラス効果

 

kikuchi投稿画像 以前、「キッズ向けスマートフォン」に関する記事を投稿した際に、需要はあまり見込めないと書かせて頂いた。しかし、シニア向けスマートフォンは、昨年夏に、docomoが「らくらくスマートフォン」を発売して以来、売り上げは伸びており、その存在は徐々に浸透してきている。先日、ソフトバンクからも「シンプルスマホ」が発売され、シニア向けスマートフォンの今後のさらなる需要の拡大が予想される。

この新たなスマホの特徴は、docomoから発売されているスマホと同じく「文字が大きい」、「ボタンが大きい」、「シンプルな操作」等の機能の他に、「タッチした文字だけが大きくなる」という虫眼鏡機能が新たに搭載されている。通常のピンチアウトによる画面全体を拡大するのとは異なる。また、誤って触れて誤作動しないように、タッチパネルをしっかり押さないと反応しない設定が可能など、シニア向きにさらにカスタマイズしている。

このようにシニア向けに新たな機能が搭載されたということだが、一方で、いまだスマホはハードルが高いもので、なかなか手を出せないという人も多いはずである。そのハードルとは、大きくは、操作性とセキュリティに対する不安の二つだと推測される。

まず操作性についてだが、スマホとガラケーでは、タッチパネルかハードキーかという大きな違いがあり、まずそこに抵抗を感じる。また、ガラケーは電話の進化版であり、スマホはパソコンの進化版であるが、パソコンやインターネットとの付き合いが浅いシニア層にとっては、非常に複雑な操作が予想されているのである。

次に、セキュリティ面における不安だが、シニア層の方たちは、今まで触れたことがないスマホに対して、きっと不安を感じているはずである。初めてネットに触れた時に「このリンクをクリックしてしまえば多額の金額の請求がくるのではないか」と感じた同様の不安なのである。

今回の「シンプルスマホ」の発売に際して、ソフトバンクはこの二つのハードルを解決した販売方法を提供してきたかのようにみえる。

まず、一つ目は、スマートフォンの使い方研修を受けたシニア層の方たちが、店舗で実演販売しているのである。これまでは、店舗に行っても若い店員が、彼らの常識のレベルで教えてくれるので、それでは理解もついていけず、スマホ=ハードルが高いものと思っているシニア層にとっては不安が増すばかりである。

しかし、同年代の人が、丁寧に教えてくれるというサービスは、買う側からしてみれば、「同じ年代ができるのであれば私もできる」という安心感を与えてもらえ、また、同じ目線で話をしてもらえるので理解もついていきやすく、スマホに対するハードルが下がる要因になると考える。

二つ目は、実はこのシニア向けスマートフォンは、セキュリティ面を考慮して、アプリケーションがダウンロードできない仕組みになっていることである。これは、以前docomoから「らくらくスマートフォン」が発売された時も同じように話題になったが、スマホの醍醐味であるアプリがダウンロードできないようでは、そもそもスマホを持つ意味があるのだろうかと疑問に思う。しかし、この制限が、実はシニア層にとっては、「スマホ」に対するハードルを下げているのであろう。「スマホ」と聞くだけで抵抗を感じている人が、アプリをダウンロードすることで危険にさらされる可能性があるという事実を知ると、さらに使う気が失せてしまう。このように制限をかけるということは、本来のスマホでは魅力を下げる要因となってしまうが、シニア層にとっては安心させる要因になっていると考える。

このように、単なる機能の追加というプラスαで魅力を訴えるのではなく、制限を加えることによって不安要素を取り除くというマイナスのアプローチは、シニア世代のようにテクノロジーに消極的な人たちにとっては、効果的なアプローチだと考える。このようなマイナスのアプローチは、スマホに限らず、その他のニューテクノロジーにおいても、シニア層に限っては使える手段ではなかろうか。

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