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Arts & Science 定性と定量のハイブリッド調査
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調査事例

Arts & Science 定性と定量のハイブリッド調査

2024/06/30

こんにちは。リサーチャーの田中です。
私はアートやデザインが好きで、仕事の傍ら、芸術大学の学生をやっています。
ここ数年、アートがビジネスにもたらす効果について書かれた本や記事をよく見かけますが、
VUCA時代」と呼ばれる現代において、柔軟性や主体性が強く求められるアート思考が注目されているようです。
今回は、「アートとサイエンス」に絡めて、定性調査と定量調査について、そしてそのハイブリッド調査についてお話します。

 

アート、サイエンス、クラフト

ビジネスにおいては、「アート」、「サイエンス」、「クラフト」のバランスが重要といわれます。
それぞれを簡単に定義すると、以下のようなイメージです。

 

「アート」は、まだ誰も見たことのない未来を描き出す創造力

「サイエンス」は、論理的に体系立てて考える分析力

「クラフト」は、着実に業務を遂行する実行力

 

「アート」がワクワクする未来を創造し、「サイエンス」が体系的な分析を通じて現実的な裏付けをし、「クラフト」が現実化するための実行力を生み出というのが、理想的な機能の組み合わせです。

その中で私たちがリサーチでお手伝いできるのは、主に「アート」と「サイエンス」の部分になります。

「アート」は、n=1に着目して筋の良い仮説を立てる、仮説探索調査で、

「サイエンス」は、仮説を市場全体に問う、仮説検証調査です。

そして前者は定性的に、後者は定量的に行うことが多いです。

 

定性調査と定量調査

定性調査は、個人のヒストリーや行動の背景に注目して発言や行動などの数値化できないデータを捉え、「HOW」や「WHY」を知るのに役立ちます。

一方定量調査は、市場全体を俯瞰して数値や量のデータを捉え、「WHAT」や「HOW MANY」を知るのに役立ちます。

それぞれ様々な手法があり、

定性では、グループインタビュー、デプスインタビュー、エスノグラフィー、ホームビジット、日記調査、ワークショップ、MROC

定量では、Webアンケート、CLT、ホームユーステスト

などがあります。

目的に合わせて最適な手法を選ぶことが重要で、場合によっては組み合わせておこなう(ハイブリッド調査)ことが有効になります。

ハイブリッド調査を行う際、定性調査を先に行う場合と、定量調査を先に行う場合があります。

以下でそれぞれのケースをご紹介します。

 

ハイブリッド調査(定性→定量)

定性→定量の順で行う場合、<仮説探索・立案→検証>のような設計をすることが多く、仮説の構築から始めたいようなケースで有効です。

たとえば、製品リニューアルを検討しているけれど、まだ明確な方向性が定まっていないとき。

定性インタビューで想定ターゲットのニーズを探り、いくつかのコンセプトを見てもらい、方向性の仮説を立てる。そしてその仮説について、Webアンケート量的に検証する、といった方法が考えられます。

 

ハイブリッド調査(定量→定性)

定量→定性の順で行う場合、<構造の可視化→深堀> のような設計をすることが多く、すでに仮説があって、対象にあわせて詳細なマーケティングをおこないたいケースに有効です。

たとえば、新規事業のマーケットを拡大するにあたり、適切なターゲットに適切なコミュニケーションをとりたいとき。

Webアンケートで市場をいくつかのセグメントにわけ、各セグメントにどのくらいニーズがありそうかを探り、有望ターゲットを特定する。そしてそのターゲットにインタビューをすることで、それぞれにどのようなコミュニケーションが有効であるかを探る、といった方法が考えられます。

 

 

以上、定性と定量の役割や特徴、ハイブリッド調査についてご紹介しました。

 

私は前職でデータ分析、すなわちサイエンスをやっていましたが、もっとアートな調査がしたい、と思いスガタにジョインしました。そして定性調査で投影法などをやると、アプローチがアート的だなあ。と思うのです。

リサーチにおけるサイエンスとアート。どちらも重要ですが、大事なのは、場合に応じて適切な方法を選ぶことと、どちらかに偏った考え方で意思決定をしないことだと思います。

そして定性と定量はそれぞれ大きく性質が異なる調査ですが、一気通貫で実施することで、一枚の写真を拡大しても縮小してもよく見えるかのように、生活者や顧客をマクロな視点とミクロな視点の両面から解像度高く把握できます。

スガタリサーチでは定性、定量、それぞれ様々な手法を使ってリサーチを行っており、「調査事例」ページにも随時アップしています。

是非そちらもご参考にしてみてください。

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