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陰から陽への転換
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調査事例

陰から陽への転換

2013/10/04
REPORT

日本人はどうやら物事や現象にすぐ総称をつけたがる傾向があるようで、以前から存在している「就活」という単語に加えて最近では婚活、涙活、終活など色々な「○活」という言葉が誕生している。でもどういった活動を私達は「○活」と総称して使っているのだろうか?つけようと思えば、飲み会でも登山でも「飲み活」や「登活」などと呼べるのではないだろうか?そこには何かパターンがあるのかも知れないと思い、今回は「○活」と呼ばれるものの共通点と、そこから見える深層心理について考えてみることにした。

 

結婚活動まず婚活について興味深い点は、この言葉が一般的に使われるようになった頃から、結婚相手を探していると公言する人が増えたということである。以前であればやたらと人に話すような内容ではなかったはずだが、近頃は「今、私婚活中です!」と平気でそれを口にできる雰囲気になっている。さらに「○活」という名前がつけられていることから、それがあたかも一種の楽しいイベントであるかのような扱いもされつつあり、そういった「イベント(活動)に積極的に参加している自分」というポジティブな意識も生まれているのではないだろか。自分も世間のトレンドに乗って「婚活」をしているということは、自分は一人ではないということを実感させてくれる上に、「自分をソーシャライズしている(交流・社交している)」のだという満足感に繋がるのである。

 

涙活涙活については、8月23日の記事で同僚が紹介しているので詳しくはぜひそちらを読んでみて欲しいが、これは脳のデトックス効果を求めて涙を流し、リフレッシュするための活動である。言い換えると、日常生活で積み上げた圧力やストレスから自分を解放させてあげるための救済的な活動とも言えよう。涙を流すことで得られる効果については、敢えてここでは説明する必要もないので割愛するが、「涙活」という総称がついたことで興味深い効果が生まれていると考えられる。それは涙活に参加しているという時点で、その行為自体が精神的に影響を与えているという仮説である。代償行動という言葉があるが、これはある欲求を別の形で満たそうとする行動である。もしかしたら涙活において、この活動に参加しているという認識から彼らは一定の満足感を得ているのかもしれない。だが代償行動がなされるためには、「涙活をしている」という具体的な実感が大事であるため、たまたま感動的な本を読んで涙を流した時よりも、「涙活」をしたことで涙を流した時の方が効果が大きいのかも知れない。Source: 涙活 Official website 

 

終活そして終活という言葉はご存知だろうか?これは「人生の終わりのための活動」の略であり、自分自身で自分の葬式や墓の準備などを行う活動である。そうすることで残された家族の負担を減らし、自分自身も安心して余生を過ごせるというものらしい。昔からあるのは、「あなたのお墓の準備をしませんか?」といきなり電話ごしに繰り広げられるセールである。これにはいい気分がする人は少ないだろう。しかし、「終活」という聞き慣れない言葉が生まれたことで、それに注目が集まりメディアでもちらほら耳にするようになった。そしてそれらを見聞きしているうちに、こうした新しい活動は少子化の時代を反映したトレンドになりつつあることに気付くのかも知れない。そうすると、終活の重要性を自分の人生に重ねて考えるようになり、潜在していた顧客が自ら終活に向かってアプローチする程、積極的な姿勢が広まるのであろう。Source:暮らしづくり終活

 

こうして見てみると、これらの活動は全て人生の大事なステージであり深刻な問題であるという共通点に気付く。しかし「○活」という総称をつけることによって、大きく三つの特徴が生まれる。それは「ソーシャライズ(交流・社交)している満足感」、「代償行動」そして「新しさ」である。                                                         本来であれば深刻な問題であるにも関わらず、「○活」という総称がついたことにより逆に前向きな気持ちで積極的に参加できる対象となるのである。また深刻な問題であるからこそ、その問題を一人で抱え込むよりも、自分は一人ではないということを実感させてくれる「○活」という呼び方が大事なのだろう。「○活」という総称は、陰を陽に転換させる魔法の言葉なのかも知れない。

 

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