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きれいなおねえさん、ならぬ、おにいさんは好きですか
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きれいなおねえさん、ならぬ、おにいさんは好きですか

2013/07/12
REPORT

図1 男性用トイレに変化が起きている。

 若い男性が鏡の前で髪をいじったり、左右の顔を確認したり・・・今も昔も女性がデパートの化粧室で費やす時間は、「美容」「身だしなみ」という点で、女性だけに許された至福の時間だったはず。デートの途中で女性が化粧室の前で待ちぼうけを食らうのも、そう先の話ではないのかもしれません。

 男性用スキンケア市場に関する記事を読んでいると、「綺麗男(きれお)」という言葉をよく見かけます。「綺麗男」に該当するのは、年齢が25~29歳で、全体的に美容への関心が強い人をさしています。日常的に「洗顔料」「リップクリーム」「化粧水・ローション」などを使い、会社にローションやワックスを置いている。香水を時間によって使い分け、男性モノ・女性モノという区別は気にすることなく、自分にあった化粧品を使う。身だしなみとして「キレイでいたい」という気持ちが強い。Source:Business Media誠

 これを聞いて、多少「ドッキっ」とした女性もいるでしょう。現に私自身化粧ポーチを持ち歩く事さえしなくなった、「落ちぶれ女子」の一人です。

  男性用スキンケア市場規模は、2001年の115億円から11年には190億円1.7倍に伸び、今後も拡大していく事が予想されています。Source:Zakzak

 「綺麗男」増加現象と合間ってか、昨年までの3年間で約3倍にまで市場が拡大したのが、「男性用日焼け止め」です。ネオマーケティングが男女750人に対して行った「肌と紫外線に対する意識調査」で男性の4割が「美白になりたい」と回答し、もっとも多かったのは20代男性でその数は6割にものぼったそうです。Source:Peachy

 そんな男性の新たなニーズにいち早く答えたのが、ロート製薬のOXI ホワイトシリーズ(洗顔料、化粧水、美容液の3品)です。「ビタミンC誘導体」」を配合し、白肌を守り清潔感と透明感のある肌に導くという製品です。2012年2月に販売し、じわじわと売上を上げているそうです。Source:OXY学園 他にも楽天の男性用に美容製品の売り上げランキングを覗いてみても、美白用製品、染み抜き、美容液、メイクアップ等、女性用美容製品とそこまで相違がないように思えます。

 今までの男性の美容意識はあくまでも「身だしなみ」や「清潔感」を意識したものであり、男性用スキンケア製品においても「クリーン」をコンセプトとした、洗顔フォーム、化粧水、クリーム等が中心でした。しかしながら、「美白」や「染み抜き」ましてや「メイクアップ」まで、美容における女性領域に、男性がここまで浸食してくると、落ちぶれ女子の私でも流石に「違和感」と「危機感」とでもいうべき焦りを感じてしまいます。この男性の美容意識の変化の経緯はいったい何なのでしょうか。

 まず、25歳~29歳「綺麗男」世代の彼らが高校生だった1995年~2000年こそが、男性ファッションやスタイルの新しいカテゴリーでもある「ギャル男」や「イケメン」等、が生まれた時代でした。そして、街では「カリスマ店員」、「カリスマ美容師」等といったファッション系の職種に注目が集まり、男性にとっても、美容がとても身近な環境にありました。このように個々の「美容意識」が自然な形で生まれて、「美容」を通じて自らを表現するという女性的コンセプトが身についた年代なのではないのでしょうかSource:beauty market report

 また、社会的側面から考えると、高校生の時に「美容」に目覚めた彼らが、25~29歳という社会人になった今、社会は女性の大学進学率の上昇や、雇用機会均等法等で、ビジネスや社会の場所においても女性が同じ環境、同じ立場の社会的地位を確立しています。 男性が「美容」を意識する事は、肉体労働よりも、精神労働が必要とされる情報化社会において、「力強さ」よりも「優しさ」、「大胆さ」より「こまやかさ」等の「女性性」により価値が置かれる社会であるという事の現れなのでないでしょうか。

 男性の「美容」の意識が、「対人関係への配慮」という時代は、とっくに過ぎ去りました。今では男性も、「美容」への大きな目的として、「人より綺麗になりたい」、「綺麗になる事自体が気分がいい」等という、「自己満足」を大きな目的としていると言っても過言ではありません。

 そして、落ちぶれ女子の私が感じている「違和感」と「危機感」とでも言うべきこの焦りはいったい何なのかと考えた時に、「美容」における新たな「ライバル」が出現したという事なのです。そのライバルこそが、「綺麗男」達なのです。

 急激に増加している「綺麗男」」達の存在は、この「女性性」社会で男性が生き残る為の術として今後も更なる発展を遂げるのではないのでしょうか。

 

 

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