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JNNデータバンクで見る日本のシニアマーケット
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調査事例

JNNデータバンクで見る日本のシニアマーケット

2016/03/29
REPORT

序文

日本人のライフスタイルに関する理解を深めるため、JNNデータバンク※を用いた新たなレポート企画を実施いたしました。
初回は、日本においても有望といわれているシニアマーケットに焦点を当てました。この日本のシニアマーケットは世界的にも最も高齢化が進んでおり、他国の先行指標として参考になると考えられます。
※日本を代表する民放TV局のTBSテレビを中心とした、民放ネットワークが実施運営を行っている全国生活者調査。民間では最長の歴史をもち、1971年から全国三段抽出よる訪問留置法で毎年実施しているものです。日本市場の分析において代表性が高く、また40年以上に亘る生活者の変化を捉えられる貴重なデータベースとして各方面より高い評価を得ている。

シニアについての定義

日本市場においては60~65歳で90%以上が退職*1するため、この退職人生が始まる60歳以上をシニアマーケットの下限年齢とし、一方上限年齢について、日本人の平均寿命は男女ともに80歳を超えておりますが、健康寿命は70代前半と言われているため、74歳を上限年齢とし、本企画では60~74歳をシニアマーケットと捉え、他世代との比較を行いながらシニアマーケットについて考察しました。
*1厚生労働省「就労条件総合調査」(平成26年)

代表性の高い調査を利用した理由

今回のシニアマーケットの考察では偏りが大きいと考えられるインターネットモニター*2による調査ではなく、代表性の高く客観的に分析が可能なJNNデータバンクデータを採用し、かつ具体的な分析においてはJNN特別版*3を利用しました。
*2ネットモニターの出現率は、3.8%。60~70代では、1%前後。(野村総研 生活者1万人アンケート調査 2012年 訪問留置法)
*3 JNNデータバンク特別版は、JNNデータバンク調査において70-74歳を調査対象として含んでいる主要5地区のデータです。(詳細はページ下部 調査概要に記述)

日本のシニアマーケットが、有望な3つの理由

1.人口が多い。
65歳以上の高齢者人口は3,300万人。総人口に占める65歳以上人口の割合(高齢化率)は26.0%(65~74歳 13.4%、75歳以上 12.5%)。世界で最も高い水準*1。 *1 平成27年版高齢社会白書

人口ピラミッドfinal2

 2.資産が多い。
貯蓄現在高は60歳以上の世帯では約2500万円。40歳未満の世帯が562万円で4倍以上。負債も60代で213万円と最も多い40代の1051万円の1/5程となっています。

年齢層別 平均貯蓄額と負債額final

 3.余暇を楽しむ。
60 代で余暇生活の満足度、期待度、向上度がいずれも高まります。満足度は70代が最も高い。

余暇生活の満足度・期待度・向上度ポイントfinal

人口多いけど、元気な人は多いの?
資産は多いけど、お金は使うの?
余暇を楽しむけど、お金を使うような余暇なの?
本当に有望か生活者視点で見てみました。

生活者視点でシニアを見てみると?

上の世代ほど高い健康満足度
シニアの健康満足をみると、戦中生まれ世代(70~74歳)の男女とも60代*1に比べて、高い傾向にあります。
*1 団塊世代=65~69歳、ポスト団塊世代=60~64歳 

健康満足度final

温泉・旅行・コンサートなど上の世代ほど活発な余暇活動
余暇に関しても、温泉・旅行・コンサートなどが、全年代と比較して高く、お金を使った余暇を楽しんでいる姿がうかがえます。

1年間の行動final

シニアは、元気で、余暇にお金を使ってくれそうな有望な市場のようです。
それでは、どんなメディアでアプローチしたらよいのか見てみました。

シニアには、どんなメディアが有効か?

視聴の多いTV
TVについては、全年代と比較して、シニアは「必ず毎日(3時間以上)視聴する」が高く、その割合も女性では50%以上であり、有効なメディアと考えられます。

TV視聴final

上の世代ほど聴取の多いラジオ
ラジオについても、シニアの各世代ともに50%前後が聴取しており、全年代の40%と比較して高く、有効なメディアと考えられます。

ラジオ聴取final

上の世代ほど利用率の低いネット
インターネットについては、70~74歳では、使用率は30%ほどで、全年代の80%と比較すると、大幅に低くなってます。傾向として下の世代ほど使用率が上がるので、今後主要なメディアになると考えられます。

インターネット利用final2

シニアには、TV・ラジオなどのマスメディアが有効で、インターネットも今後伸びて来ると思われます。
それでは、どんなコンテンツが受け入れられそうか、見てみました。

シニアには、どんなコンテンツが有効?

よく見るテレビ番組は娯楽系や時事系
TVでよく見る番組は、「歌謡曲番組」「寄席・演芸」などの娯楽系やニュース・ワイドショー・天気予報などの時事系が多い傾向です。

よく見るTV番組final2


ラジオでききたい番組は、ニュースなどの時事系と「いろいろな人の考え方や生き方についての話」「クラシック音楽」「知識・教養が身につく話題や情報」などの教養系が多い傾向です。

ラジオ聴取内容final2


ネットでは、「地図検索」「電子メールのやり取り」「ホームページやサイトを見る」など実用的な目的で使用されてます。

ネット利用目的final

各メディアの特性に合わせた使い方が有効と考えられます。

まとめ

生活者視点で見た70代前半までのアクティブシニアマーケットは有望。
シニアへのアプローチは、現状マスメディア。今後は、インターネットも有効。
各メディアは、特性に分けた使い方が有効。

今回の結果から、日本のアクティブシニアマーケットは有望で、今後のアプローチに関しては、世代の特性にあわせたコミュニケーションが効果的なことがわかりました。一般的にシニアは、変化を望まない傾向が強く、ブランドスイッチも行わないため、プレシニア時代から世代効果を狙った長期的なコミュニケーションを行うことで、ロイヤリティーの高い顧客になると考えられます。各国におけるシニアマーケットの先行指標の参考になれば、幸いです。

        JNNデータバンク2014特別版 調査概要
調査対象:13歳~74歳の一般男女
標本数 :4,612人 都道府県人口を参考に各地区割当
標本抽出法 :3段抽出(エリア・サンプリング)
調査の方法 :訪問留置回収法
調査地域 全国主要5地区
札幌地区、首都圏地区(東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県を含む)、
名古屋地区、関西地区(大阪府・京都府・滋賀県・兵庫県・
奈良県を含む)、福岡地区
調査時期 2014年11月中旬※最新2015年のデータもあります
データに関するお問い合わせは、株式会社ジェーディーエスまで

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