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2015年07月24日

《 CreatorによるMarket Creation 》 #001 立花奈央子さん 後編

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女装コーディネーター 立花 奈央子(株式会社オパルス/フォトスタジオ大羊堂代表)

女装のメイク、撮影に特化した「フォトスタジオ大羊堂」を経営する他、女装撮影や女装メイク講座講師を行う。これまで手がけた男性はジャニーズ所属のトップアイドルから70歳のベテランまで、のべ1000人を超えている。女装文化のスペシャリストとして、現在はテレビや雑誌を中心に女装コーディネーター、フォトグラファー、メイクリストとして活動中。

【大羊堂webサイト】https://taiyodo.in    【立花奈央子 作品webサイト】https://www.crossdressjapan.com


インタビューの前半では、立花さんが経営する「フォトスタジオ大羊堂」の経営やサービスについてお話をうかがいました。後半では引き続き立花さんに、クリエイティブや活動の理念に付いて、また今後の活動展開について詳しくお話をうかがいます。

インタビューの前半はこちら からご覧になれます。


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– -立花さんがカメラやメイクなど、クリエイティブな事に興味を持ったきっかけと、現在のお仕事に至る経緯を教えて下さい。

立花さん(以下略称):子供の頃から絵を描くのが好きでしたね。基本的にインドアな子供でした。周りの子供たちが夢中になるオシャレな事にはあまり興味が持てなくて、自分が好きなモノを友達とかに言えない、ちょっとオタクっぽい子供でした。だから本格的にクリエイティブな活動を始めたのは、上京して就職してからですね。

会社員の合間に素人の撮影会モデルをやってたんですけど、複数の素人カメラマンに囲まれて撮影されているうちに、撮影技術にも興味を持ちはじめたんです。カメラについての基本的なことは、現場で撮られながら覚えたと思います。自分が撮られているうちに、こういうファッションをした女の子がいたら面白いなーっていう創作衣装を自作するようになって、メイクから写真のレタッチまで自分でするようになったんですね。レタッチについて実践的な本が見当たらなかったので、コスプレ用のレタッチ本を自分で企画して出版したりして。だけどそんな事をいろいろやりながら、自分を素材にして作品を作ることに限界を感じ始めたんです。骨格とか顔立ちとか。だったら自分の理想的な女の子を探してきて、私がメイクして撮影すればいいんだて思って、撮る側になったんです。

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– -今のように女装と関わりながらメイクや撮影をする直接的なきっかけは何でしたか?

立花 : 歌舞伎町で遊んでいるときに出会った、とあるプロの女装の方が「趣味女装はブスばっかりだ。彼らは写真を撮られたいんだけど、撮ってくれる人がいないんだ」って言っていたんです。その時は私、写真を撮りはじめたばかりで撮影の練習をしていたから、だったらその人たちを撮らせてもらおうかしらって思って、カフェを借りて撮影会をやったんですよ。当時「mixi」で女装のモデルさんを募集したら、わーっと応募が来て、参加してくれたみんなが、私のメイクや写真にキャッキャして喜んでくれたんです。こんなに喜んでもらえるんなら、お店を作っても成り立つなって思って、今のお仕事で開業するきっかけになりました。

– -クリエイティブな事を趣味的に行うのは楽しいですが、起業してお金を稼ぐとなると、色々とご苦労もあるかと思います。いかがでしょうか?

立花 : お金を稼ぐこととクリエイティブで好きなことをするのを、別々に考えたことが私はあまり無いんだと思います。確かに今の仕事も、請負いの写真スタジオだったら仕事を選べなくて苦しい局面もあると思うけど、私は自分の好きな環境を作って好きな写真しか撮らないから、あまり趣味と変わらないのかもしれないですし。いつもマネタイズは考えるけど、それで自由度が下がるかといえば、そんな事はないんじゃないかな?だって好きな事ですからね。会社員の頃は嫌な仕事をするのがどうしても避けられなくて、凄くストレスだったんですけど、起業後の多少の不自由、例えばお金が不安定だったりとか、社会的な基盤が無いとか、そういう点を除けば、起業は自分にとってメリットしかなかったと思っています。

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– -今後の会社の展望として、やりたいことや事業展開の方向性、目標があれば教えてください。

立花 : 一つは「創作写真館」をやりたいですね。本家は台湾にあるんですが、日本にはまだ少ないので、それを持ってこようって思っています。凝ったセットを作って、男女問わずに、作り込んだセットに派手な衣装とメイクで写真を撮る変身写真館です。現在のまま女装だけに限ってしまうと限界があるので、こういう方面にも力を入れていきたいですね。既存のやり方と違う手法でコストをかけずに作る方法を見つけましたし、いいクリエイターも協力してくれるので、近々、進化系の変身写真館をお見せできると思います。
全く違うものでは、風俗嬢のパネル写真も撮りたいって思ってます。それも、格段に綺麗な写真を。以前は、女の子がバック紙の前でポーズしているものが多かったですが、今は外ロケやグラビア風の、普通の女の子っぽい風俗写真が流行ってるんですよ。でも、そういうニーズに応えられるカメラマンは少ないんです。
私の大きなモチベーションとして、お客さんをびっくりさせたり、喜ばせたいってのが根っこにあるので、そのためにはニーズを形にして、目の前に見せてあげる必要があると思うんです。うちの新スタジオの立地もいいし、そっち方面にも営業をかけてみようかなと思っています。

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– -事業を展開していく選択肢にも、立花さんのパーソナリティが何となく反映されているように思います。変身願望のようなものかもしれませんが、ご自身では事業展開の一貫性やこだわりをどのように分析しますか?

立花 : やっぱり、人の人生に関わりたいっていうのがすごくあります。女装であれば、その人が人生の中で押し込めている何かを外に出してあげるお手伝いとか。風俗写真であれば、写真一枚で売り上げが大きく変わる世界なので、私が撮影することで売り上げを上げさせて、その子の夢に一歩近づくことの手助けをしたり。
他の人から見たらバラバラなことをやっているように思われるかもしれませんが、「人に喜んでもらう」「世の中の価値観を変える」というテーマは同じです。そして、感謝や感動の対価としてお金をもらう姿勢を忘れなければ、常にうまくいく、少なくとも大きな失敗はないと思っているので、挑戦することに恐れはありません。だからこの先、自分がどんな事を手がけるのかは自分でもわかりませんが(笑)自分を決めつけずに、いつも柔軟に自由にやっていきたいと思っています。

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– -大羊堂のホームページで立花さんは、「より多くの人が性別に関する固定観念から脱し、それぞれの自由と幸せを見出すきっかけに自分自身がなりたい」と書かれています。女装を愛好する方々だけではなくて、より多くの人の人生に関わり、価値を転換することで驚きや喜びを見出していきたいという事でしょうか?

立花 : そうですね、今の仕事や会社が有るのって、自分がやりたい事を実現するためのツールであり、自分が理想とする自分であるためのツールだって思うんです。何で女装コーディネーターやってるの?って聞かれたら、さっき言ったみたいな人生のお手伝いなんですけど、それよりさらに深い所では、間接的に昔の自分を救済することになっていると思うんですよね。オタクっていう事を周りに言えないとか、本当の自分を表に出せないとか、レタッチがわからないとか、メイクのやり方がわからない!みたいな気持ちも含めて、過去の自分が感じた戸惑いを治すような形で、いろんな人に還元するというのが根本にあるんだと思います。だから皆にもっと、戸惑いによって自分を押し込めるんじゃなくて、そこから自由になろうよ!自由でいいじゃん!ていうメッセージを届けたいし、届けられる自分でありたいって思っています。

そういえばさっき、今後の展望として言い忘れてましたけど、最近は芸能事務所としての活動も本格的に始めたんですよ。 まだ専属のタレントは一人だけですが、ちょうど今、テレビとのパイプもできてきたので、今後は専属第一号のレディビアードを中心に、ガッツリとプロデュースしていきたいですね!彼は女装というツールを使って、皆に自由な生き方をパフォーマンスで見せてくれる女装と自由のシンボルです。だから彼を世に送り出すことは、私自身の、表現活動の一部でもあるんです。

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立花さんは起業の当初から、ユーザーの潜在的なニーズを掴み、新しいサービスを投げかける姿勢を一貫して継続されているように思います。女装の業界に対する彼女の立ち位置は「異端者」でありながらも、提供されるサービスには、彼女自身が手探りの中で感じた感情的な体験をベースにして、その処方箋を全てのユーザーに還元するような親密さがあるのではないでしょうか。

そして、そこに含まれる「自由になろう!」というメッセージは、女装の業界に留まらず、芸能という新たな事業展開の中で、より多くの人に向けて発信され始めました。既存の美意識から逸脱しつつも、ユーモアと力強さを含んだ容姿を持つタレントのレディビアード。彼のキャラクターが表象するものは、既存の型にはまらず、世間の価値観を跳ね除けて、自分らしさと自由を謳歌する、立花さんの生き方そのものであり、きわめて実直な彼女の表現活動の結晶であると思います。
ユーザーのニーズに応えるだけではない、自由な生き方自体をキャラクターに託して発信していく新たなビジネスの展開に、彼女のさらなる活躍と、クリエイターのビジネスでの可能性を感じました。(渡邊)


インタビュー / 構成 : 渡邊 陽平

㈱スガタリサーチでマーケティングの業務に携わりながら、ファインアートの市場で絵描きとしても活動中

写真撮影 : 磯崎 威志 (Focus & Graph Studio

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