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【年代別分析】 年表編 世代:シニア男性(50歳~)
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調査事例

【年代別分析】 年表編 世代:シニア男性(50歳~)

2015/05/11
REPORT

今回は、60歳の方を軸とし、1951年から1965年の間に生まれた50歳~64歳の男性を対象に、彼らが育った時代背景を理解するため、彼らが生まれてから現在に至るまでの主な出来事を選出し、その出来事が彼らにどのような影響を与えたのか年表にまとめました。

◆1. 誕生 (1950年代後半) 【高度経済成長時代の幕開け】

神武景気、岩戸景気など、日本の高度経済成長時代に、彼らは生まれた。また、好景気の影響により、三種の神器(冷蔵庫・洗濯機・白黒テレビ)などの耐久消費財ブームが発生した。三種の神器は、努力すれば手が届く夢の商品であり、新時代の家庭における豊かさや憧れの象徴ともなった。

 

影響:好景気に加え、都会では高校や大学への進学率が伸びたことで、若い労働力不足が深刻になる。このため不足した労働力は地方から集団就職などによって補われた。とくに若年労働層は、第二次産業の基盤を支える「金の卵」として期待された。

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◆2. 少年期 (1960年代 6~15歳頃) 【スポ根ブーム到来】 

主人公が努力と根性でひたむきに競技に取り組み、特訓を重ね、あらゆる艱難辛苦を乗り越えて成長を遂げてライバルとの勝負に打ち勝っていく、といったいわゆるスポ根ものが漫画・アニメ・ドラマといったあらゆる方面でブームとなった。代表作には、「巨人の星」、「あしたのジョー」などがある。

 

影響:当時の日本は、経済的に欧米に「追いつき追い越せ」と躍起になっていた時代であり、その姿が、弱者が強者に努力と根性で立ち向かうといったスポ根のストーリーとかぶって見え、大いに共感を呼ぶこととなった。

また、『熱意と根性さえあれば、どんな苦境も打破できる』といったスポ根の精神論が実際のスポーツ競技や学校の部活動などにも多大な影響を及ぼした。


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◆3. 青年期 前半 (1970年代 16~25歳頃) 【オイルショック】

オイルショックとは、1973年と1979年に始まった、原油の供給逼迫および石油価格高騰と、それによる世界の経済混乱である。これにより、日本の消費は低迷し、1974年(昭和49年)に-1.2%という戦後初めてのマイナス成長を経験し、高度経済成長がここに終焉を迎えた。

 

影響:マスコミの報道や噂などによって不安に駆られた人々が、オイルショックとは全く関係のない、トイレットペーパーを買占めるといった、「トイレットペーパー騒動」まで勃発した。小売店では、店頭にトイレットペーパーが並ぶや否や客が押し掛け、商品を奪い合う人すら見られ、定価の倍の値段をつけても売れるほどだったという。

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◆4. 青年期 後半 (1980年代 26~35歳頃) 【バブル全盛期を経験】

   彼らが働き盛りを迎えるころに、バブル全盛期を経験することとなる。この頃はまだ、男は仕事、女は家庭という風潮が強かった。内閣府の調査では、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という考え方に対して、80年代ではおよそ7:3で「賛成」が大多数であった。また、「24時間戦えますか」というキャッチフレーズで発売された「リゲイン(第一三共ヘルスケア)」は、バブル期のサラリーマンを題材にしており、この時代を反映するようなCMだといえる。

 

影響:値段が高いもの=いいものという価値観をもっているのが若い頃にバブルを経験した世代に共通している。バブル当時は、給料は大幅昇給、最初のボーナスは何百万という会社もあった。その為、気分的な金銭のゆとりがある人が多かったため、高級ブランド品や、高級車といった高級・ぜいたくなものを身につけることが彼らのステータスとなった。

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◆5. 壮年期 (1990年代 35~44歳頃) 【バブル崩壊~失われた10年~】

1990年代初頭に日本のバブルが崩壊した。それに伴い、北海道拓殖銀行山一證券日本長期信用銀行日本債券信用銀行といった、大手金融機関が破綻し、「銀行が潰れる」という未曾有の事態が起こった。また、地価が下落して不動産業者の担保価値の目減りが大きくなり、土地は売るに売れず、融資先は元金返済どころか金利の支払いすら滞る事態となり、不良債権化するといった住専問題も起こった。

バブル崩壊以前は、能力は二の次で、年齢や勤続年数に基づいて給与やポストを決める「年功序列型」社会が主流であった。しかし、バブルが崩壊してからは、能力がないものはすぐにリストラの対象とされ、仕事の成果に応じて給与などを決める欧米流の「能力主義」、「成果主義」へとシフトする企業が増えていった。

 

影響:この頃の中高年代の人たちは、新卒よりも人件費がはるかに高い上に、年齢や勤続年数と見合う能力がないというレッテルを貼られた為、リストラの的となった。同じ理由により、リストラ後の正規雇用への再就職が困難を極め、非正規雇用といった低賃金の職に就くしかなくなり、ワーキングプアに陥る人が多くなった。

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◆6. 中年期 (2000年代 45~54歳頃) 【不況の常態化】

2002年になると、成長率は低いものの、景気回復がみられた。これにより、株価の上昇や、就職状況が好転し、大卒生の就職率も7割前後にまで回復した。しかし、2008年のサブプライムローン問題(リーマンショック)が引き金となり、世界同時不況が起こり、景気が急激に悪化した。このまま景気が回復すれば、バブル崩壊の影響も何とかなるかもしれないと思っていた彼らは、再度経済の低迷期を迎え、希望を打ち砕かれる形となった。

 

影響: かつては、不況の状態を異常と捉えていたが、不況の常態化により、彼らも本格的に不況経済の中で生きていかなければならないことを、ようやく覚悟し始めるようになった。

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◆7. 現在 (2010年以降 ) 【逃げ切れなかった世代】

近い将来、この世代の人たちが、定年を迎えることとなる(迎えた人もいるが)。このひとつ上の世代、いわゆる団塊の世代までは、年金の支払いの負担が少なく、年金を受け取る際は、給付が手厚いといわれているため、「逃げ切り世代」と呼ばれている。これに対し、今回紹介した世代は、ギリギリその恩恵を受けられない、「逃げ切れなかった世代」となる。

高年齢者雇用安定法の改正で、希望すれば65歳まで会社で働くことが可能になったが、焼け石に水のようなもので、「逃げ切れなかった世代」が、公的年金だけで老後を送れないことは明らかである。

景気が回復すれば、豊かとはいえないまでも、老後を普通に暮らすことができるのではと期待していた彼らも、定年を間近に控え、それが適わないと悟った。その為、ここに来て彼らは、早急に老後の生き方や、人生の再設計を行わなくてはならなくなった。しかし、アベノミクスの影響でひょっとしたら、かつてのように「日はまた昇る」かもしれないという期待も持っている。

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