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パチンコ業界の起死回生に向けた大改革案
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調査事例

パチンコ業界の起死回生に向けた大改革案

2014/10/27
REPORT

経済事情やモラルの変化、若者の遊び方の変化から顕著になったパチンコ業界の衰退について、チーム連載最終回である本投稿ではパチンコの今後について考えてみた。斜陽産業になったパチンコだが、パチンコ税の制定やカジノ合法化、風営法の改正など政府の財政政策の一環としてパチンコが着目されているのは不幸中の幸いとも言える。

カジノ解禁に関しては賛否両論あるが、今回は合法化すべきか否かの議論は抜きにして「カジノの合法化や法改正が施行された場合」という前提の元に、パチンコ業界の大改革に関して考えてみた。チーム連載の第一弾と第二弾の考察を踏まえ、パチンコ業界の復活劇に伴うシナリオを提案したい。

既存業態での改善案

パチンコが合法化されれば、業界の位置づけや換金システムが明確になる。そうなれば現在パチンコ未経験者の間で、三店方式などを理由に敬遠されている「グレーなイメージ」は部分的に解消されるであろう。同時に、それは生まれ変わったパチンコとしてイメージを改革していくチャンスである。しかし、既存の顧客を抑えつつ、新規顧客を獲得していくためには慎重に舵をきっていかなければならない。

前回の投稿では、パチンコ未経験者とパチンコ経験者、そしてパチンコ熱狂者の3タイプの対象者に対して行ったインタビュー調査の結果を発表した。その調査を大きくまとめるこうである。

▼未経験者の認識▼

パチンコ=「浪費・依存症・社会問題」といったネガティブなイメージが強く、もしも自分がパチンコをやるとしたら誰にも知られたくない。

▼経験者(パチンコ経験者と熱狂者)の認識▼

パチンコの「グレーゾーン」はスリルの要素でもあり、日常的な娯楽として一人で楽しむもの。積極的にパートナーに話そうとは思わないが、パチンコをやっていることを友人に知られるくらいは問題ない。

この結果から見受けられるのは、経験の有無によってパチンコに対するネガティブイメージが大きく異なるということだ。つまり新規顧客の獲得が現在最も最難関な課題であると言える。

今後のパチンコ業界の向かうべき方向として、パチンコの既存業態の中での改良点を3つ提案したい。

1)   独りの空間=オアシスの提供

前回の投稿でラーメン屋の一蘭という例が挙がったが、客と客の間にパーテーションを立て独りの空間を作ることで、プレーヤーにとっては視覚的/聴覚的にプライベート感を味わってもらうことができる。そうした空間でパチンコを打つことで、より一人の世界に没頭することができるだろう。現在台と台の間のスペースを広げるような取り組みが一部で行われているようだが、パーテーションを立てることの方が場所の節約にもなり、効果的にプライベート感が演出されるのではないだろうか。 

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 2)   庶民的で身近なエンターテイメント

パチンコ経験の有無を問わず、パチンコは庶民的で身近なエンターテイメントというイメージを消費者から抱かれており、一攫千金を狙うような豪遊イメージのカジノとは全く違うポジションにいることが分かった。このイメージの区別というのは今後も堅持していくことが大事だと考える。ただし、ブルーカラーイメージの「庶民的」ではなく、立ち寄り易く身近な存在であるという意味の「庶民的」な存在であることは重要なポイントになる。

3)   ゲームとしてのパチンコ体験を提供

「パチンコの体験そのもの」を提供することで、射幸心を煽る行為の逆を推奨すべきである。射幸心を煽るほどに熱狂的なファンは増えるが、一方でその他の顧客を遠ざけることになったというのは、これまでの投稿で解説されてきたとおりである。パチンコ合法化に伴い、射幸心を煽るような売り方はこれまで以上に受け入れられなくなるだろう。ギャンブルのネガティブなイメージではなく、ゲームとしてパチンコ体験を楽しむことを推し出し、安全且つクリーンなイメージを定着させなければならない。

新たな業態の提案

更に、新規顧客を獲得していくためには、現在パチンコに無関心である消費者の目を向けさせるための革新的な企画が必要である。前述した3つのパチンコ業界の改良案に関してはパチンコ業界を支える土台とし、そこから新たな業態を提案したい。

パチンコを始めたきっかけについて対象者にインタビューしたところ、全員が最初は人に紹介してもらい誰かと一緒に行ったと回答した。一方で、多くの人はパチンコは独りの空間を楽しむものだと考えている。ここに致命的な矛盾が発生している。パチンコは独りで楽しむ物だと考えられているにもかかわらず、始めるきっかけには多くの場合は紹介者が必要であり、未経験者にとっては仲間がいないと始めの一歩を踏み出しにくいと言う。これもパチンコ業界が新規顧客の獲得に苦しんでいる要因だろう。

提案その①:パチンコ × 飲食店

そこで、人を誘いやすくする業態として「パチンコカフェ」や「パチンコバー」など、飲食業とパチンコのコラボ業態を提案したい。カフェやバーなど、親しみのある業態とコラボさせることによって、未経験者にとってはカフェやバーが主役であり、パチンコのことは付加価値として捉えてもらうことが可能になる。そうすれば、これまでパチンコには興味がなかった人にとっても「新しいスタイルのアミューズメントカフェ」という視点でアプローチができるのではないだろうか。そしてうまくすれば、これらでパチンコの楽しみを実感した客が「独りの空間」派の本格的パチンコにも足を運ぶようになるかも知れない。

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画像出典元

https://image1-3.tabelog.k-img.com/restaurant/images/Rvw/8299/8299098.jpg

https://www.brand-reserve17.com/item-23

https://www.officiallyjd.com/archives/236165/20130403_seikatsuhogo_08/

提案その②:通信型パチンコ

現在パチンコのアプリゲームなどはあるが、通信型のパチンコ台は未だ存在していない。台と台がインターネット通信によって繋がるようになれば、他のプレーヤーと対戦することができるし、独りの空間を守りつつ他人と繋がることができるため「独りの空間」と「ソーシャルパチンコ」の中間の立場が取れる。通信型ゲームが主流化した現代では、パチンコにおいても通信機能は当然備わっているものとして求められる時代かも知れない。例えば、同じ台で得点を競い合う、もしくはプレーヤー対釘師等の通信型対戦が考えられる。

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 提案その③クールジャパンとしてパチンコの輸出

最後にぜひ提案したいのは、クールジャパンの一つとしてパチンコを輸出することである。カジノとは似て非なるものとして、「庶民的で身近な遊び」がパチンコである。国によっては三店方式までも輸出可能である。この遊びを世界に売ることができたら、エンターテイメント業界の中で日本のパチンコ産業が新たなポジションを獲得できるかも知れない。そうすれば、パチンコが日本のクールジャパンのイメージに拍車をかけることになり、2020年のオリンピックを控えた日本にとっても有利な周知の機会となるだろう。 

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画像出典元

https://world-action.net/archives/1786

https://links100.net/culture/284.html

https://vocaloid.blog120.fc2.com/blog-entry-12792.html

https://otommiki.blog.fc2.com/blog-entry-10.html

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