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2014年10月20日

「かけ×ちゃいましたがそれってアリなの?ナシなの?」~“アタリ(成功)組”と“ハズレ(失敗)組み”成功の分岐点~

近年注目を浴びている「意外な組み合わせ」の製品やサービス。前回の投稿で、市場に出回っている、それらの多くの製品を、“アタリ(成功)組”と“ハズレ(失敗)組”にグループ分けした。○○型と分けられた製品群の、成功と失敗要素を分析したが、今回は特に、“はずれ(失敗)組”に焦点をあて、斬新なアイディを持つ、「一番絞り」の製品が、残念な結果になってしまったのかを、“あたり(成功)組”の成功事例と比べながら、深く考察していこうと思う。

まず、近年の「意外な組み合わせ」製品の中で、特に脚光を浴びている、“The 成功例”と位置づけても過言ではない、「脱構築型」製品に注目したい。“ノンアルコール飲料”、“におわなっとう”、“ノンフライヤー”、”羽なし扇風機“など、絶対必須と思われる中核要素を落とすことで進化を遂げたグループだが、何故これらの製品が、目新しさと斬新さをかねた製品であったにもかかわらず、”一番煎じ“にならず、多くの消費者に受け入れられたのだろうか。いくつかの”アタリ(成功)組“製品に注目しようと思う。

アタリ組み photo

 【ノンアルコールドリンク ~メイン要素:酒 落とし要素:アルコール~】

「脱構築型」製品の代名詞とでも言うべき、“ノンアルコール飲料”といえば、2009年にキリンビールが「キリンフリー」を発表してから、急速に拡大してきた。2002年の道路交通法改正以来、飲酒運転への罰則が強化された事に伴い、その需要に加速がついた事は有名な話だ。当初は、やむを得ず飲酒できない時の「代替品」としての需要にとどまり、たったの10年ほど前までは、その“美味しくない”というイメージもあり「ハズレ(失敗)組」の1つの製品であった。

その“ハズレ(失敗)組”の製品が、“アタリ(成功)組”へと伸し上がった理由として下記の点が挙げられる。

・「若者のお酒離れ」、「健康志向」という時代背景の変化。

飲酒運転への罰則強化という当時の時代背景において、飲みたくても飲めない時の“代替品”であった製品が、昨今の若者のお酒離れや健康志向の風潮から、“飲みたくない”、“酔わなくてもいいが、雰囲気を楽しみたい”等という「飲まない人/飲めない人」へのニーズに対応した新しい飲料製品へと変化を遂げることができた。

・「味へのこだわり」が、メインの中核要素となった

ビールといえば“味”と“アルコール”が絶対必須の中核要素だが、あえて“アルコール”という1つの中核要素をそぎ落とすことで、新たなアルコールの消費シーンを創造する事に成功している。重要な中核要素をそぎ落としても、ユーザーを失わなかった大きな要因は、「ビールの味」という中核要素が、失われた“アルコール”要素を十分にカバーできるほどの、「味へのこだわり」が消費者に認められた結果となったのではないだろうか。

・「アルコール度数減少」に消費者が慣れていた

ノンアルコールビールが発売される前から、発泡酒や、第3のビールなど、低脂肪、低価格、低アルコール度数などの、アルコール飲料が次々に販売されていた。その結果、ノンアルコールビールが発売された当時、“低アルコール度数”に消費者はある程度慣れた状況であった事が功を奏した。アルコール度数的には、小さな1歩での成功となったのだ。

・「ビールと同じemotional benefit」を伝える事に成功した

BizGateの調査によると、ノンアルコールビールは日常のあらゆるシーンで飲用されており、特に多い飲用シーンが、「家の食事中(44%)」にあるように、本物のアルコールの入ったビールを飲んでも差し支えのないシーンであえてノンアルコールコールビールを飲んでいる人が大半を占めていた。その他にも、飲めないけど飲み会の雰囲気が好きな人がノンアルコール飲料を愛飲しているように、メーカー各社は、ノンアルコール飲料であっても、ビールと同じemotional benefitを得る事ができると、伝える事に成功したといえるのではないか日経BizGate :https://bizgate.nikkei.co.jp/article/70860111.html

【におわなっとう ~メイン要素:納豆 落とし要素:におい】

2000年4月にミツカンが発売した「金のつぶ・におわなっとう」だが、当時全国発売から3ヶ月目にして、納豆品目別シェア1位を獲得するなど、脱構築型として、成功した製品といえるだろう。

・「納豆のにおい」という“落とし要素”が納豆ヘビーユーザーのニーズを見事にすくい取った。

納豆といえば、その“におい”と糸をひく“ねばり”が特徴だ。ねばりがなければ納豆とは言えないが、においには好き嫌いがあり、いくら納豆好きであっても、においが原因で消費シーンを狭めていた人も多くいるだろう。一見、“におい”をなくす目的は、アンチ納豆派をターゲットにしているように見えるが、実は、納豆ヘビーユーザーの食用シーンの拡大を目的にしていたのだ。ヘビーユーザーにとって、会社で食べたり、デート前でも気にせず食べられたりと、食用シーンの拡大に繋がった事が、ヒットの要因になったようだ。

要素を追加する事で、新しい価値を生み出す、塩キャラメル、ルンバなどが分類される「異種格闘技型」ほどの、アイデアの斬新さはないものの、「脱構築型」には、中核要素をカスタマイズするという手法自体が、アンタッチャブルと思われていた要素に手をつけたという面で、斬新な考え方であったといえる。

そして、今回注目すべき“ハズレ(失敗)組”に関してだが、アイデアの斬新さで言えば、“アタリ(成功)組”を上回っているようにも思える。しかしながら、何故にして「一番煎じ」という結果になってしまったのだろうか。 ”ハズレ(失敗)組“として挙げられた、いくつかの製品、サービスに注目したい。

ハズレ組みphoto

【3DTV ~基本要素:TV 追加要素:3D】

地デジ移行が行われた2011年頃、家電量販店に足を運べば3DTVのデモンストレーションなどが盛んに行われ、メディアも特集を組むなどし、時代は3DTVブーム真只中であった。しかしながら、今では3DTVが騒がれる事もなく、その騒ぎはどこに行ったのかと思うほど、”The 失敗組“になってしまった。

・追加要素である「3D」のエコシステムが不十分であること。

 「3D」コンテンツの制作費用が膨大である事、放送局側のシステムが3D映像の供給に対応していないなど、送り手側のエコシステムがついていけなかった事が大きな要因である。

・「3Dめがね」の着用

3DTVといえば、“3Dめがね”だが、「ハレとケ」のケ=日常的な場面で、テレビ鑑賞の為にめがねを着用するのは単純に抵抗があったと思われる。基本要素(日常の製品)と追加要素(非日常の製品)の不整合の結果ではないだろうか。

 【セカンドライフ~基本要素:日常生活 追加要素:オンライン】

2007年頃より、3D仮想世界という目新しさにより、セカンドライフに関する報道が活発化し、多くの企業も参入した。

・ハードルの高さ

セカンドライフを充実させる為には、ハイスペックのパソコンの必要性や、複雑な操作方法、かつシステムを理解する事に対し英語の必要性がある事などから、一般のユーザーにとっては難易度が高いものであった。

・人々が求めるセカンドライフのニーズにあっていなかった

仮想社会でのリアルの追求が魅力とされたセカンドライフだが、実際に多くの人にとって現実社会以外で、“リアルを求めない”事が、真の消費者ニーズであった。唯一、セカンドライフで成功しているのは“動物の森”といえるが、あくまでそれは、リアルとはかけ離れた、非現実のほのぼのとした別世界なのである。

前回の投稿で、電子書籍や、EV自動車など“ハズレ(失敗)組”に挙げられていた「エコシステム未整備型」の製品に関して言えば、今は“ハズレ(失敗)組”かもしれないが、今後エコシステムの充実で、“アタリ(成功)組”に伸し上がるポテンシャルを十分に持っている製品といってもいい。

Photo 3 ポテンシャル製品

ポテンシャル製品

3DTVやセカンドライフに対して、今考えるともっともらしい分析を私自身してきたが、正直に言うと、これらのヒット製品が、なぜヒットしたのか、ハズレ製品がなぜ残念な結果になってしまったのか、実際のところ“アタリ”と“ハズレ”、の分岐点がなんだったのかよくわからない。リサーチャーとして、それを見極めるマーケティングの力を培っていきたいと思うばかりだが、次回連載第3回目では、「意外な組み合わせ」における、実際のサービスや、製品を実際に体験し、リアルタイムで、その分岐点を分析してみようと思う。

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