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2014年06月27日

涙活体験~みんなでデトックス~

涙活Official websiteによると、涙活とは「1ヶ月に2~3分だけでも能動的に涙を流すことによって心のデトックスを図る活動」とのことです。そして、1ヶ月に1~2回開催される「涙活」イベントでは、涙を流すことを望んで集まった「涙友(るいとも)」と共に、泣ける動画等を鑑賞し、思い思いのスタイルで涙を流し、個々のストレス解消の為に活動しているという。Source:「涙活」でデトックス(2013年8月23日投稿)

去年の夏頃から話題になり、Marketing Eye watch の投稿記事においても、2013年8月に私自身が取り上げた。その際は、「涙を流す」事が、脳科学的にもストレス解消に非常に効果があり、「喜怒哀楽」の感情の表現以上の効果が期待されていると紹介した。特にストレス解消に効果的な涙が、「感動の涙」であり、さらに言えば、映画や、ドラマ、小説等、他人が経験したストレスで泣く“感動泣き”が一番効果的だという。

「涙活」において、涙を流す行為が「健康法」としてとても効果的であるという事は納得できたものの、「涙活」イベントという集いに関しては、多くの人が参加し、知らない者同士、「泣くこと」を共有するという行為があまり理解できなかった。正直な所、「涙活」は一人で出来る活動であり、さらに言うならば、大勢より、1人の方が思う存分泣けるのではないかと思ってしまうからだ。

そこで今回、この「涙活イベント」の魅力とその実態を探る為、実際に「涙活」イベントで涙を流す体験をしてきた。

Photo 1

2014年4月8日(火)会場:川崎WAVE101(新浦安駅徒歩1分)

当初、この現場レポートを4月に投稿する予定であったため、その投稿に間に合わせるための、直近開催が、新浦安での涙活イベントであった。通常新宿の会場にて実施しているという情報があっただけに、開催場所が増えているという事実に、その人気も拡大している事を実感する。19時半スタートに間に合わす為、6時半に退社後すぐに新浦安まで向かうが、時間に間に合わず、19時40分頃少し遅刻して到着した。「涙活」でデトックスをするというイベントだけに、会場は雰囲気のいい、ヨガスタジオ、またはカフェのようなイメージをしていたが、ショッピングモール内にある、カルチャーセンターのようなフロアの1室で、「涙活」は開催されていた。入口には、ホワイトボードに二文字「涙活」とマジックで書かれたシンプルな看板が出され、会場は、普通の会議室に人数分のパイプいすが並べられ、正面には泣ける動画を映し出すであろう、プロジェクターが用意されていた。最近話題なだけに、雰囲気も工夫して、照明や、キャンドル等でリラックス空間が演 出されているのであろうと期待していただけに、少し拍子抜けしてしまった。それは、イベントというより、「講習会」という響きの方がふさわしいであろう雰囲気である。「涙活」イベントに足を運ぶ事の利点の一つとして、ここでしか感じられない雰囲気があるのではないかと、予想をしていたが、雰囲気が重要ではないのだという事を実感した。

話題性を裏付けるかのように、会場には、テレビの取材が入っていて、到着早々、撮影される事、インタビューを受ける可能性があるほどを伝えられた。

Photo2

その日の参加者は、約20名。年齢層は、30代~50代位の会社員であろう男女から、60代後半の主婦層のグループ、70歳代位のご夫婦等、多様な年齢層と属性のメンバーで構成されていた。30代~40代の社会人層が多いのではないかと予想していたが、「涙を流す」事に興味があるのは、年齢、属性、関係ないようだ。ストレス解消の為に参加しているというより、涙活とはどのようなものかと、興味津々で参加をしているような雰囲気があった。

まずは、ウォーミングアップとして、泣くことに関しての悩みを参加者それぞれが、紙に書き、「涙箱」と呼ばれる箱に入れていた。通常時間があれば、「感涙療法士」と呼ばれる人が、悩み相談に乗ってくれるらしい。

 

【涙活1つ目:泣語(なくご)】

Photo 3

涙活の1つ目として登場したのが、落語家ならぬ「泣語家」の泣石家芭蕉(なかしや・ばしょう)氏。民族風の衣装をして、泣ける話のお話しが始まった。涙活official webによると、「泣語」にもいくつか作法があるらしく、お話しは5分以内であること、衣装は、ブータンの民族衣装をモチーフにした「泣き装束」が公式。そして、泣語家が、涙を浮かべるのは御作法になるそうです。Source: 涙活Official web

「泣語」の内容は、自身の友人から聞いたという、ペットと飼い主に関する泣ける話であった。私のウォーミングアップが足りなかったのか、それとも、普通の会議室で、ライトも明るい環境が涙腺を刺激する事を妨害したのかはわからないが、私自身は泣くことができず、残念ながら他の人が泣いている様子もなかった。

 

【涙活2つ目:泣ける動画】

ようやく、会場が暗くなり、ついに泣ける動画の上映が始まった。トータル20分、5本の動画を鑑賞した。そして、その動画はどれも、Youtubeなどで、誰もが見ることのできる動画であった。それぞれウエブで簡単に探すことができたので、紹介したいと思う。

涙活ムービー 僕を支えた母の言葉・泣ける感動ムービー「僕を支えた母の言葉」

字幕だけで語られる、母と、息子のストーリー。学校でも問題ばかり起こすような世間的には不良息子を、どんな状況であれ、「あなたは素晴らしい」と支え続ける母親。やっと親孝行をしようと思った矢先の、母親の事故死。字幕と音楽だけで表現される、この一発目の動画で、涙腺がかなり刺激され、かなり泣けた。

https://www.youtube.com/watch?v=G_BonPLOkdk

 

東京ガス 家族の絆 おばあちゃん・東京ガスCM「おばあちゃんの料理編」

おばあちゃんと、孫のストーリー。両親が共働きで、おばあちゃんの料理で育った孫。大人になり、子供の頃おばあちゃんの料理が原因で、ひどいことをした事を思い出し、おばあちゃんに会いに行くストーリー。おばあちゃんの悲しそうな顔が、涙腺を刺激する。

https://www.youtube.com/watch?v=QKQIOA9juRI・

タイの保険会社涙活 ・タイ保険会社の感動して涙が止まらなくなる動画

お父さんと娘のストーリー。耳の聞こえない父親と、その娘。父親の愛情と、娘の葛藤を描いている感動ストーリー。娘と、父親という、どこかぎこちない関係が切なく、会場の涙をさらに誘っていた。

https://www.youtube.com/watch?v=VFre8uJQdBM

東京ガス お弁当を作るお母さんのCM・東京ガス お弁当を作るお母さんのCM  https://www.youtube.com/watch?v=XuiwAk7cNqQ

母親と、息子のストーリー。お母さんが毎朝作るお弁当への思いと、息子の成長を描いている。言葉は少ないが、中学生という思春期の息子と、母親の、お弁当を通じてのコミュニケーションが暖かく、感動する。働きながら家事、子育てに奮闘するお母さんにとっては、たまらない1作ではないか。

振り子・鉄拳 「振り子」https://www.youtube.com/watch?v=JXcV6dOMUZs

鉄拳のぱらぱらマンガ。振り子をテーマに、ある夫婦の出会いから本当の別れまでのストーリー。妻に苦労を掛けた夫の最後の恩返し。時計の振り子を止めて、病気の妻の進行を止めようとする夫の姿に、とにかく涙が止まらなかった。

 

動画のセレクションに関しては、内容が、夫婦、娘と父親、息子と母親、おばあちゃんと孫のストーリー設定で、参加しているあらゆる年齢層、属性の人が、泣くことのできる、「泣くツボ」に対応していた。また、内容的にも哀しいストーリーではあるものの、その哀しみも、後に引きずる事のない、程よい感じで有る事がよかった。

動画が終わり、会場が明るくなった瞬間、私だけでなく、会場にいる多くの人達がハンカチを握りしめ泣いているようだった。上映中も、涙で鼻をすすっている人もいる様子だったので、結構な人数が泣いていたのではないかと予想をした。動画の鑑賞後、主催者からの「泣けた人手を挙げてください」という問いかけに、泣けた人は会場の約半分程度だった事が判明した。泣けた人を見ていると、ほとんどが女性、そして30代、40代の社会人層がほとんどであった。特に、男性と、年齢層が高い女性に関しては、感動はしたが、涙は出なかったと感想を述べている人が多くいた。

男性に関しては、「泣くこと」に慣れていない傾向にあり、難しかったのではないだろうか。泣いた姿を人に見られたくないという気持ちから、普段泣くことを我慢しているだけに、泣くことへのモチベーションと環境が用意されてはいたが、涙はでなかったのだろう。年齢層の高い女性に関しては、後々知ったことだが、友達同士の5人グループでの参加が難しくしていたようだ。知らない人同士の方が、自分をさらけ出しやすいのが、「涙活」イベントの利点なのだろう。

泣ける動画の後は、感涙療法士(医療や福祉、教育の現場で感涙を広め、患者や生徒の心の健康をサポートするという)の吉田氏の涙の授業にて、「涙を流すこと」がどれだけ健康に良いかが説明された後、今回涙を共有した、「涙友」達との交流会が開かれた。

「涙友」交流の場で、「涙活」を提唱した、感涙協会会長の寺井宏樹氏にインタビューする機会があり、幾つか気になる事を聞いてみた。

<涙活を始めたきっかけ>

寺井氏が、涙活とは別にプロデュースしている、離婚式で、特に男性の方が、誰よりも大泣きする事が多いという事に目を付け、普段あまり涙を流す事のない人でも、「涙を流す」という機会を作る事で、気持ちがすっきりし、明日への糧につなげる事が出来るという事に気づいたという。

<泣ける動画のセレクションについて>

参加者のあらゆる年齢層、バックグラウンドを持つ方々が、共感できる、万人受けする内容でなければいけないという。涙を流す引き金は、動画の中で用意されている、誰かの「ストレス」を感じ取る事であり、他人が経験した「ストレス」が共感できないものであれば、ただ単にその人をきずつける事になってしまうという。「参加者が涙を流すこと」を、目的とした涙活においては、相手の気持ちを一番に気遣わなければいけないという。

<イベント以外の活動は>

老人ホーム等でも活動しているという。慣れない集団生活の中で、何かと気を遣う事の多いお年寄り同士が、「涙を流す」という、普段人に見せまいとする事を、積極的にさらけ出すことで、ストレス解消になっているのだという。

今回「涙活」を実際に体験し、確かなデトックス効果が感じられた。涙を流した事で、いい感じの疲労感があり、頭も心もすっきりしていた。それはまさに、マッサージやエステにでも行った後の感覚に少し似ていて、“あー今日はぐっすり眠れる!”と一人事を言っている自分もいた。

今回、「涙活」イベントに参加をして、多くの人が、“泣くことに集う”理由が見えてきた。それは、「涙活」イベントが、脳や、心をリセットするための“儀式”の役割をしているという事だ。

寺井氏へのインタビューで、彼は、離婚式で多くの男性が涙を流す事にヒントを得て、「涙活」を提案したと話していた。離婚式と言えば、レストラン等に友人などを招いて離婚を報告し、会食をする事だが、その内容と言えば、夫婦最後の共同作業として、結婚指輪を2人でハンマーを使い叩き潰す演出があったりするらしい。式をする事で、新たな人生の再出発の為のけじめがつけられ、互いの友人など周囲の人達との関係も要項に保てるという。

Source:kotobank.jp

 「涙活」イベントに参加する男性や女性の中で、とくにその効果を感じられるのは、普段あまり泣く事ができない(人前で泣くことに恥じらいを感じている)人達なのではないだろうか。普段自分をさらけ出す事ができない人こそ、人前で泣くことに対して、「泣けた」という優越感を感じ、ありのままの自分をさらけ出す事ができるという安心感も付加価値として得ることができることが、「涙活」イベントに参加する利点なのである。「涙活」イベントは、このような特別な行為を行うために用意された「儀式」なのである。

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