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2014年02月21日

【「おたく」の終焉】第3回:おたくの終焉~オタクのファンダメンタル化~

第1回・第2回ではおたくの発生と多様化と題して初期の姿から時代を追ってたどってみた。発生当初、おたくは社会のメインストリームから蔑視される存在であり、きもい・他人と意思の疎通が出来ないなど、ほぼ社会からはみ出した存在とされていた。しかしながら、90年代後半からのアニメブームによって、それまではおたくとは縁のないような層まで巻き込み、一種の流行や社会現象になった。そして、現在は、10代の約半数が「自分はオタクだと思う」と答えている。第3回の今回は、この約半数は自分を「オタク」だと思っているこの状況について考えてみる。

<かつての「おたく」趣味を自分も好き>

最近の特質的な傾向といえるのが、10代や20代前半の若者たちにおいて、旧来の「オタク」の興味対象とされていたアニメや声優、コスプレ、漫画などがファッションやコスメと同等に扱われるようになったことである。「アニメやマンガもファッションと同じように興味がある。むしろそういう情報も押さえておいたほうがおしゃれ」(18歳 女性)(日経MJ新聞9月4日より抜粋)と昨年夏のコミケに来場していた女性は話している。また、筆者のまわりの友人を見てもそうなのだが、趣味は明らかに「オタク」でも見た目においては普通の女子、むしろ筆者よりも女子度が高い、というような人は多い。彼女たちにおいてはアニメやマンガが他を差し置いて何よりも大切なもの(彼女自身)と言うよりは、自分を構成する1要素なのである。これはまったく旧来の「おたく」の有り様とは間逆である。

ただし、「アニメ」や「マンガ」など旧来の「おたく趣味」を自分も好きなことから、自分は「オタクである」と認識しているのではないだろうか。「アニメは好きだからオタクかといわれればそうかもしれないが自分では普通だと思う」(15歳 男性)(日経MJ新聞9月4日より抜粋)と語る。

美容オタクブログ<「オタク」という言葉の意味の変容>

また、そもそもの「おたく」という言葉の意味の変容が挙げられる。今「オタク」が意味するのは「何かに熱中している」「何か特別好きなものがある」というぐらいのところまで含めた趣味に没頭する人を指し示す。それ故、いまや当初の「おたく」とはまったくかけ離れた「美容オタク」という言葉さえ存在している。「美容オタク 」たちのブログを覗くと、そのきらびやかさに女子力の足りない筆者などは怯むくらいである。しかしながら、彼女たちの美容への関心度の高さ(常に研究に余念がない、生活の全てが美容)、熱中の仕方、お金の使い方(すでに持っているものでも買う)は確かに「オタク」であると言える。

<すべてが「マイナー」>

かつてはメインカルチャーが存在し、それに対してマイナーな趣味・趣向の人が「おたく」と言われていた。ところが、ゼロ年代以降の高水準で物質的な充足を得た社会では、以前のような大多数が所属するようなメインカルチャーはもはや存在せず、趣味や嗜好が細分化・多様化された、いわば全てがマイナーな状況である。「マイナーである」ということは「おたく」を構成する大きな因子の一つである。故に、多くの人が自分を「オタク」と考えうる状況だと言える。

このようにみてみると、旧来の意味でのメインカルチャーに対してマイナーな存在であり、メインストリームからは蔑視されるような「おたく」は終焉を迎えていると言える。しかしながら、今回述べてきた点から考えると、「おたく」を構成していた個々の因子のそれぞれがファンダメンタル化され、基層となっているように思われる。10代の約半数が「自分はオタクである」と答えていることはそのことを良く現している。

ローソン そして、この様なオタクがファンダメンタル化された社会では、よりニッチに向けたマーケティングこそが功を奏すのではないだろうか。たとえば、ローソンではキャンペーンにオタクコンテンツを盛り込むことで成功を収めている。「ターゲットが小さくても、消費者の心にさされば万人受けを狙うより大きなリターンを得られる時代」と担当課長は語っている。(日経MJ新聞9月4日より抜粋)これは裏を返せば、ニッチに受けないとヒットはしない、ということのエビデンスであるようにわたしには思える。

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