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【アクティブシニアの出現】第2回:シニアの頭脳について
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調査事例

【アクティブシニアの出現】第2回:シニアの頭脳について

2014/01/24
REPORT

第一回目の「シニアのカラダ」に引き続き、第二回目は「シニアの頭脳」について着目していきたいと思います。

最近では、日本でもインターネットを使いこなし、オンラインショッピングを楽しんだり、SNSを自在に使いこなすシニアが増えています。下記に、シニア層におけるインターネット利用に関するデータをいくつか紹介したいと思います。

◆シニア層のインターネット利用について

総務省が日本のシニア層のインターネットの普及率について調べたところ、2003年には60代後半で21.9%、70代で12.2%でした。それが2011年には60代後半で60.9%、70代で42.6%と2003年から2011年の8年間で約3倍、3.5倍となっています。また、「月に1日以上インターネットを利用している」と回答した人に対し、普段のインターネットの利用頻度を尋ねたところ、約9割の方が、「週に6日以上(ほぼ毎日)」インターネット利用していることが明らかとなりました。さらに、IMJモバイルが行った「シニアのインターネット利用に関する調査」では、シニアが習慣的に接触しているメディアが「インターネット」と回答する人が最も高く、新聞やテレビを超えていることがわかりました。Source:  新産業創造推進室公式ラーニングポータルIMJモバイル

◆シニア層のオンラインショッピング利用について

DENTSUデジタルシニア・ラボが、普段インターネットネットを1日30分以上利用している60~74才までのシニアに対して、インターネットを使って何を行っているかをたずねたところ、最も多かったのは「ネットショッピングで商品・サービスを購入する」(59.7%)でした。購入している物品について多かったのは、「地方の特産品(カニ・お茶・銘菓等)」、「昔読んだ本」、「孫へのプレゼント(オモチャ・洋服等)」、「化粧品」、「サプリメント」でした。他に、「チケット予約」や「ネットオークション」に加え、「ネット上で株式の売買をする」や「ネットバンキングを利用する」などもあがっており、単に生活用品を買うだけでなく、趣味や、資産運用と多岐にわたって利用していることがわかります。Source:電通総研「DENTSUデジタルシニア・ラボ」

◆シニア層のSNS利用について

29万人の会員を抱えるシニア向け趣味交流SNSサイト「趣味人倶楽部(しゅみーとくらぶ)」では、月間2,000人以上のユーザーが自主的にイベントを行っており、約12,000人のユーザーが何かしら「趣味人倶楽部」上で開催されているイベントに参加しているとのことです。

さらに、「趣味人倶楽部(しゅみーとくらぶ)」の運営会社であるDeNAが昨年の6月に開催した『辞世の句 川柳コンテスト』では619名の参加者から2893作品の応募があるなど、運営会社も活発的に会員が参加できるイベントを行っているようです。

他にアクティブな会員が多い要素としては、クラブツーリズムのツアー情報の紹介を行っており、コミュニティ同士でツアーに申し込むことができたり、簡単な操作で投稿できるのが魅力のようです。Source:趣味人倶楽部、CNET

また、Twitterフォロワーが7000人を超える80歳代のおばあちゃんも存在しています。戦争体験をつぶやいたところ、若者に反響があり、今では、戦争体験をつぶやくだけではなく、悩みを抱えている若者にアドバイスを行ったりと積極的にSNSを利用しているようです。Source:NHKオンライン

 

趣味人クラブ東京都老人クラブ連合会ゲートボール

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、ネットサービスがシニア達に当たり前になってきたことにより、シニア達に何か変化はあったのでしょうか。

かつてのシニア達が活動するコミュニティーといえば、同じ世代の親しい友人あるいは町内会や老人会といった狭められた地域に限定されていることが多く、若いころに比べると世間が狭くなっていく一方だったように思います。あるいは、内向的になる傾向があり、閉鎖的な空間からあえて抜け出すことはなかったように思います。そうした、限られたコミュニティーの中で暮らすシニア達は長年培ってきた体験や経験を頼れば、生きていくうえで困ることはなく、(むしろ、それをもとに生きていく糧としていた傾向がある)極端に言えば、新しいものに関心がなくても生きていけたと言えるのではないでしょうか。

対して近年のシニア達は、ネットを利用することにより、自身の住んでいる地域に限定されることなく、世代間交流も安易に行うことができるようになり、むしろ若い頃よりも世間が広がったのではないでしょうか。一見、家から出ることなくネットサービスやコミュニケーションができることは、シニア層にとっても自身のライフスタイルが豊かになる、便利なツールだと言えると思います。しかし、新しい知識や刺激を得ることによって、友人が増えたり、新たな境地が開拓できるなど、プラスに働くこともある一方、従来までの、長年培ってきた体験や経験を頼れば、生きていくうえで困ることはないというスタンスでは対処できない局面が増えていくのではないでしょうか。何故ならば、今のシニア達にとってネットサービスやSNSは歳をとってから新しく触れるものばかりで、今まで培ってきた体験や経験が活かされないからです。ネットビギナーであるがゆえに、若い頃からネット環境に慣れ親しんでいる若い世代よりもネットやSNSで起こりうる危険性への耐性(知識)がなく、ネット詐欺、サイバーテロといった危険を回避することが難しいのではないでしょうか。また、若い世代がネットとリアルを切り分けて、浅く広く付き合っていく傾向があることに対し、シニア達はリアルと同じく、ネット上でのコミュニティーで知り合った人に対しても深く付き合おうとする傾向があると言われている方もいます。Source:日刊てれじろう

つまり、今のシニア達は、二次元(ネット上でのコミュニティー)、三次元(現実社会でのコミュニティー)と関係なく、すべてがリアルであるといえると思います。しかし、人と深く繋がろうとするがゆえに、ネットとリアルとの境目を使い分けられず、ネット上でたたかれたり、イジメといったネットトラブルも起こっており、今後もネットビギナーのシニア達がトラブルに巻き込まれるケースは、ネットやSNSの利用に比例して、ますます拡大していくことが考えられます。

シニア自身がネットトラブルの回避能力を高めることも必要ですが、今後、ネットコミュニケーションをうまく使い分けていくためには、シニア達は本音と建て前のようにネットとリアルの使い分けをしなくてはならないと思いはじめるのではないでしょうか。

そして、今まさにネットを使っているシニア達は、年の功(長年培ってきた体験や経験)という概念を捨て去り、新しい経験に対して柔軟に対応して、ネットとリアルを自在に行き来できるようになることが必要になってくるのではないでしょうか。

さらに今までの体験や経験にとらわれず、柔軟に新しい経験を求める姿勢と、歳をとっても止まることを良しとせず、みずから変革を望むことが必要だと思います。

すなわち、アクティブシニア=「変革を望む人」といえるのではないでしょうか。

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